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2006.8.30(水)更新  石原良純のあした天気に
石原良純のあした天気に
熱い暑い甲子園
題字・イラスト  井沢洋二
 早実・斎藤投手のしなやかに伸びる腕から放たれた渾身(こんしん)のストレートを、駒大苫小牧の田中選手も渾身のフルスイング。

 「アパッチ野球軍」よりも、「キャプテン」よりも「タッチ」よりもドラマチックな今年の夏の甲子園に、全国のファンが熱狂した。

 グラウンドの闘いも、スタンドの応援も熱かったが、甲子園も暑かった。台風や熱低やオホーツク海高気圧の影響で、東京の空を怪しげな雲が覆っていても、テレビの中継画面には、夏の陽(ひ)に輝く甲子園が映っていた。

 大会期間中の東京と神戸の最高気温を比べてみる。東京は30度前後、神戸は37度にも達した日もある。大会16日間で、東京が神戸の気温を上回ったのは4日しかなかった。

 甲子園は東京よりずっと南国だということを改めて知った。

 決勝戦が再試合となったのは37年ぶりのこと。松山商高VS.三沢高の延長18回の熱戦の記憶は、今もはっきり僕に残る。

 土用波とクラゲがやって来て、静けさを取り戻した逗子海岸と同様に、子供の僕にとって高校野球の決勝戦は、夏休みの終焉(しゅうえん)を予感させる、ちょっぴり悲しい行事だった。

 小学2年生の僕は、夏休みも終わりに近づき、外での遊びに飽きて家にいた。テレビで野球観戦でも、と思ったその日に限ってテレビが故障。朝から「桜テレビ」のおじさんが修理にやって来た。

 修理中のテレビは、付いたり消えたり。いつまでたっても、修理も終わらないが、試合も終わらない。時々、画面に映るずらりとゼロが並ぶスコアボードをもどかしく眺める。

 あの頃は、9月になると、真夏日が続くようなことはなかった。高校野球が終われば、最高気温は30度を下回り、秋の気配を誰もが感じた。

 記録を調べれば、37年前の決勝戦の2日間の最高気温は31度台。今年の決勝戦は33・8度、再試合は32・9度。ここ甲子園にも地球温暖化の影がしのび寄る。

 でも僕は、まだまだ暑い日が続いても構わない。だってこの夏、海に入っていないもん。

いしはら・よしずみ 俳優・気象予報士。62年神奈川生まれ。84年デビュー。舞台、映画、テレビで活躍中。97年気象予報士に。「FNNスーパーニュース」でお天気キャスターを担当。

(2006年8月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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