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題字・イラスト 井沢洋二
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「やばいぞ、1000周できないかも……」予想外に早い秋雨の到来に、僕は恨めしく小雨に煙る空を見上げている。
一年の計は元旦にあり、と元旦の朝に思いついたのが、近くの公園のジョギングコースを1年間に1000周すること。1周2キロ強のコースを7周すれば、ちょうど15キロ。美容と健康のために、15キロを1時間半かけてゆっくり走る。
1000周を12カ月で割れば1カ月のノルマは約83周。マイブームの1月と2月は、軽くノルマをクリアできた。ところが、桜が咲いて春になると、クルクル廻(まわ)ることにも飽きてくる。
それでも、夏休みの早朝ジョギングで遅れを取り戻し、8月末の時点で643周に漕(こ)ぎ着(つ)けた。
9月も頑張ってイーブンペースの750周まで走り込んでやろうと思っていた矢先、秋霖(しゅうりん)となってしまったのだ。
しかし元来、東京の9月は雨の季節なのだ。9月の月間降水量の平均値208・5ミリは、梅雨真っ盛りの6月の164・9ミリに比べ126パーセントにあたる。
それがここ3年、東京の9月は猛暑が続いていた。9月というのに、30度を超える真夏日がちっとも珍しくなくなった。ギラギラ輝く太陽と蒸した空気の青白い空だから、9月が秋雨の季節だということを、僕はすっかり忘れてしまっていたようだ。
低く垂れ込めた灰色の雲から振りまかれる秋の雨は、夏の大きな雨粒のように一直線に地面に落ちてはこない。霧雨のような細かな雨は、冷たい風に翻弄(ほんろう)され、時には行く手を大きく左右に揺さぶられ、時には再び天高く舞い上がり、ようやく地上に到達する。
街行く人は、ふと足を止め、空を見上げて雨が降っていることを確認し再び傘をさしなおす。それが正解。秋の細かな雨を侮ってはいけない。冷たい雨は確実に人の体温を奪うのだから。
どうやら雨が小降りになってきたようだ。気合を入れて走りに出るか。
いや、止めておこう。体の弱い僕は、風邪をひいてしまったら元も子もない。秋晴れの空の下で走ろっと。