料理は好きなはずである。
どうして好きかと聞かれると「無心になれて集中出来るからでしょうか」なんて答えていたけれど、このごろふと、料理中の私は、実は機嫌が悪いのではないかと思うときがある。
料理する風景は幸福感というか、朝のおみそ汁のネギを刻むリズムや、シチューをかきまぜる妻、または母の鼻歌なんかがよく似合う。しかしそんな光景は私からは見当たらない。
ある日の私。仕事帰りのスーパーはメニューも決まってないまま駆け込み、滞在時間5分、迷っている時間はない。
時間がないときは炒(いた)めもの。中華は下準備が大切。それが調ってからとわかっていながら、食材を洗い、ショウガ、ニンニク、ネギを刻み終わる頃フライパンを熱しはじめてしまう。わかっている、このタイミングでは早すぎると! そして少し焦げたにおいを感じながらピーマンやエリンギも刻まれていく。これはいったい何切りと呼ぶのか。中途半端に入れられたイカの飾り包丁などやらないほうがキレイだった。
そう、こうして慌てている時にこそ、自分で焦りを加速させ、うまくいっていないことが出てくる度に機嫌が損なわれていくのである。
こんな私ですが、「食」をテーマに連載をさせて頂くことになりました。続きはまた来週。どうぞよろしくおねがいします。