「井川さん、僕ね、最近農家から野菜を取り寄せているんですよ」。久しぶりに会ったまっちゃんが、そう言った。まっちゃんは関西出身の役者で、彼が上京してきたばかりの頃、アルバイトで私の現場のドライバーをしてもらっていたときからのつきあいである。まっちゃんの話は巧みで、雑学に詳しく耳が早いからいつも興味深い。
「僕の知り合いが、野菜嫌いだったのにここのは食べられる、っていうから頼んでみたら、ホンマにおいしいんですよ」と熱く語る。そんなことを聞いたら食べてみたくなるではないか。早速連絡先を教えてもらった。
まずは1500円ぐらいで葉物を多めに、とリクエストした。届いた段ボールを開けると菜の花、春菊、カラシナ、ニラ、大根、ヤーコン、ジャガイモがぎっしりと新聞紙にくるまれている。どれも市場で見るものよりひとまわりもふたまわりも大きく、しっかりしている。そこには一枚の手紙が添えられていて、「私の師匠である母とふたりで大切に育てた野菜です」とあり、見慣れない野菜には調理法も記してあった。
実は私は春菊が苦手だったが「ぜひサラダで」とあったので生のまま食べてみたら、あまりの香りの良さにペロリとたいらげてしまった。早速その興奮を母に、マネジャーに伝え、また輪が広がった。
ちなみにまっちゃんは今、役者として着実に活躍し始めている。