高校時代の昼食はいつも学校近くの公園のベンチで、男女15人ぐらいのグループで集まって食べていた。
あるとき誰が言い出したか、それぞれが持ち寄ったお弁当を取り換えっこしよう、ということになった。公園のドーナツ形のベンチに腰掛け、歌に合わせて時計回りにお弁当を回していく。1曲終わったときに手元にあるお弁当が、その日の昼食となる。
この遊びは想像以上にスリリングであった。というのも、お肉屋さん家(ち)のあの子のお弁当はおいしかったし、グループ内に好きな男の子がいる子は一生懸命作ってくるから、豪華だった。それに引き換え、あいつの母ちゃんのお弁当はいつもおかずの入ってない海苔(のり)弁だとか、カレーライスをお弁当に直接入れてくるなんてナンセンスとか、おでんだけ……なんて子もいて、汁がにじみ出ていて悲惨だとか、みんなの中に共通の認識で、当たり弁当、はずれ弁当がはっきりとあったからだ。だから曲が終わりに近づくと、緊張感が走る。回す手元を速める人、手元をわざともたつかせてゆっくり回す人、みなが必死であった。
お互いが遠慮なく批評しあい、はずれ弁当を引いた子のリアクションを楽しむ。なんてバカバカしく、なんて楽しかったんだろう。あの頃の話は皆の中に鮮明にあり、今でも久しぶりに集まると、ひとしきり盛り上がる。