撮影で何度か訪れたバリやタイ。空港に着くや、亜熱帯特有の湿気と活気が異国情緒を感じさせ、いつも心がざわめく。深夜もやっている村の屋台を、「この人たちはいつ寝るんだろう?」と車窓から眺めているのが楽しく、そうこうしていると宿に着く。
でも私はいつも少し緊張している。撮影の朝は早く、あとほんの数時間すれば始まる。水着での撮影だというのに飛行機でむくんだ足。半身浴やマッサージをしてなんとか間に合わせたい。腹筋もしなくっちゃ。
バリで写真集の撮影をしたときのこと。最終日は、ライステラスや壮大な滝がある山奥に車で向かった。川に浮かんだり滝に打たれたり、全身ずぶぬれになっての撮影と決まっていたから、スタッフが山の休憩所で毛布やたくさんのバスタオルを買い込む。それを尻目に、「はるちゃん、あれ見て〜」とマネジャーが屋台を見つけてはしゃいでいる。
おなかをこわしてはいけない、とお預けだった屋台ごはん、大好きな辛いもの……。時間がなかったから決断も早かった! 2人でひとつ、汁ソバを注文。勢いよく入れすぎたチリソースもズルッと、ケタケタ笑いながら食べてしまった。
少しの異変を「そんなことはない」と自分に言い聞かせたが、みるみる悪化。急性胃炎。しばし休ませてもらったが、予定通り冷た〜い川に身を任せ、青ざめた顔に笑顔を浮かべて写真に収まった。(女優)