外食をひとりでする=B別にへっちゃらじゃない?という人もいるかもしれないが、色々想像するとためらってしまう。
「自分のためのごはんは作る気がしない」という主婦の声をよく耳にするが、その日はまさしく、このまま帰って料理をする気がしない日だった。私たち夫婦は、生活が真逆になってしまうことが年に何度かある。早朝に出ていく私と、片や帰宅する夫。一人の夕食を思うと、やはり張り合いがなかった。
よく通る通りの、まだ入ったことのないビストロ。扉を思い切って開けてみた。貸し切りかも……との期待をよそに、子連れの5人家族が1組。今さら後ずさりできない。
間口の狭い、細長い店内。入ってすぐのすきま風を感じる席に腰かけた。店内に背を向けて通りを見るかたちになった。イメージとしては、映画のように婦人がひとりエレガントに食事するシーンといきたいところだが、「ここで結構です」と言った自分の声は小さかった。本を取り出したり、フランス映画のポスターを眺めたり落ち着かない。しばらくして携帯がなった。夕方つながらなかった友人からだった。駆け付けてくれると言う。到着するや「はるちゃん、シブイね。もう〜いつでも誘って」と笑っていたが、ビビッていた。しかし思いがけず彼女に救われたのだった。
そして昨夜、私はまたひとりカフェの扉を開けた。しかし1時間と持たなかったのである。