私はビールには少しうるさい。ビールがおいしい季節がやってくると、あの頃の記憶がよみがえる。
今から8年前、アサヒビールのキャンペーンガールの活動で北海道から沖縄まで全国行脚していた。オーディションで選ばれてからは知識を深めるため工場見学をし、レクチャーを受け、ビールサーバーの洗浄の資格まで取得した。工場で出来立てのビールが出されたときは、あまりのおいしさに感激した。その後の過酷な日々などつゆ知らず――。
全国の営業所にお邪魔して、酒販さんにあいさつ回り、テレビ、ラジオでは生コマーシャルに出演、新聞、タウン誌などあらゆる媒体で商品説明をした。夏に向けて日ごとに忙しくなり、上半期だけで活動は100日を超えていた。地方から地方へ。博多どんたく、広島のフラワーフェスティバル、徳島の阿波踊りなどの記憶は今でも全く色あせていない。人、人、人の炎天下の中、1日イベントに出演した後のビールがおいしかったこと。カラッカラの喉(のど)と達成感を持って乾杯するのはいいな、と疲労がふっとんだ。
おかげでビールのつぎ方もうまくなった。今だって人が注ぐのを見張ってこそいないが、自分が注ぐときにはこだわりが出てしまう。泡は7対3の割合でキメ細かくふたをするように、なのだ。飲食店に入るとグラス、サーバーはきちんと洗浄されているか、すっかりうるさい客になったのも確かだ。