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2008.6.10(火)更新  井川遥のてんや椀や/締め方の流儀


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締め方の流儀

 人が集まった現場に、「もうそこにいるだけで精いっぱいだ」という二日酔いの人がいると、人は揃(そろ)ってニヤッとする。そして何から始まって何を飲み、どんなコースをたどったのか根掘り葉掘り。「締めにラーメンまで行っちゃったのー!!」なんて聞くと「そりゃ夕方まで復活しないね」などと突き放す。

 飲んだ後に無性にラーメンが食べたくなるという話はよく聞く。どう考えたって体によくない。アルコール、脂肪、塩分、炭水化物が一気に胃の中に押し込められては、消化不良を起こすに決まっている。しかも結果的に寝際に食べたことになる。そのコースをたどりがちだという友人の口から、後悔の言葉を今まで何度聞いてきたことか。

 私はラーメンやチョコレートという、多くの人が好むものがそんなに好きではない。その嗜好(しこう)が気に入っている、というよりほっとしているのだ。しかし困ったもので、ここ数年はチョコレートだって少しならおいしいと思う。ラーメンに至っては、言い出しっぺになることすらある。

 この間、前述の友人と飲んだ時、私からラーメンを提案してしまった。お店に腰掛けると、遅れて入ってきた友人が私の首根っこをつかんだ。私は強制的に外に出されたのである。彼女いわく、今日はそんなに飲んでないでしょ!と。「ラーメンは死ぬほど飲んでたがが外れたときだけにしないと」。ハイッ?? しかし妙に納得してしまった。

井川遥のてんや椀や

(2008年6月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


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