二、「ねばならない」
放送中のNHK大河ドラマ「天地人」で「語り」を務めています。ドキュメンタリーでは何本か経験しているのですが、ドラマは初めてです。俳優さんの芝居の間に言葉が入るし、どうしても状況説明が多くなりますが、シーンをつなぐだけではなく、ドラマ全体を包み込むイメージで演じています。登場人物たちの生きた土地の、空気や光の気配、山や田んぼの具合を感じたくて、収録前に、直江兼続の故郷・新潟県南魚沼市に行きました。実際に行って、見て、感じることが、演じる上で何より大切だと思うのです。
夏には舞台「眉山」の再演があります。徳島で暮らす末期がんの母と、その娘の物語。07年の映画、舞台初演=写真=と母「河野龍子」を演じていますが、江戸っ子で、筋が通っていて本当にかっこいい、ただならぬ女性。映画出演は「マルタイの女」以来10年ぶりでしたが、原作を読み、この役をやりたい、今の年齢だからこそできる魅力的な役にめぐり合えたと強く思いました。私の女優としての節目になった作品です。同じ役でも、映画と舞台では表現の仕方がまったく違うので、別のものとして新しい気持ちで挑みます。映画には画面という枠やアップの演技があり、監督がいます。舞台は、目の前にお客様がいらっしゃる「生」です。
もう体が使える期間が限られていますから、これからの仕事は、これまで以上に1本1本を大事に、情熱をこめて、全力で取り組んでいきたいのです。そしていいものを作って、お客様に見て頂きたい。そのためには、毎日の積み重ねを大切に、日々しっかり、自分の人生を楽しんで生きねばならない。なまけていたら、いいめぐり合いを逃してしまいます。これでいいとか、ここまでとかは、言いたくないのです。歌とは逆に、こちらは「ねばならない」。私には、歌と芝居、どちらもあるからバランスがいいのです。 (談)
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