四、遊びを遊べるように
遊び、わたしの欠点です。とても好きなのに苦手。好奇心に任せて季節の遊びは一通りしますが、ついつい本気に、欲ばりになる。歌い手のスイッチが切れて没頭できる半面、寝ないでのめり込み、逆に肩がこってしまうんです。
陶芸は、知人の窯に行ったら朝から晩まで作ってます。手作りの、世界で一つだけのお皿に料理をのせて「この曲がってるとこはね、ちょっと押しちゃったのよ」なんて説明しつつ、お客様をおもてなしします。スキューバは近場なら伊豆。パラオでジュゴンと出会ったり、石垣でマンタと泳いだり。スキーを始めたのは20年くらい前です。娘が小学校のスキーの授業で全然滑れないのでは可哀想だと、北海道にいるプロの方に毎年親子で教わることにしたんです。最初はもちろんわたしの方が上手でしたが、娘はどんどん体力がつく、こちらは落ちる。気がついたら置いていかれてました。
あとは大リーグ観戦。一昨年、イチローさんがコンサートにいらして「天城越え」を打席に入るテーマ曲に使いたいと言ってくださったんです。それ以来毎年、アメリカに応援に行っています。野球のことは何にも分からないんですが、イチロー選手の活躍を見るのが趣味、と言えるかな。歌を歌っていると、こんな出会いも頂けるんですね。最近はサイクリングも好きです。相変わらずムキになってこいでしまうんですが、季節の移り変わりを感じたりカモの親子を見つけたり、東京も捨てたもんじゃないな、と思えます。
車のハンドルにも「遊び」があるでしょう。そのもの自体に意味はないけれど、これが良いあんばいになっている。すべてがキチキチにはまっていたら、決して心地良くはないですよね。遊びって、ゆとり。もっと優雅なもののはず。今のわたしの大きな課題は「遊びを遊べるようになる」ですね。
◆「哲学」は今回で終わります。
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■いしかわ・さゆり
歌手。58年生まれ。3月24日、106曲目のシングル「だいこんの花」を発売。
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