「ミルクレープ二つ!」。赤い顔をしたサラリーマンが駆け込んできた。「子供へのお土産!」と笑いながら、ケーキの箱を手に終電へ走る。
西麻布の裏通りにあるケーキ屋「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」が、最も忙しい時間を迎える午後10時。ガラス張りの店内からこうこうともれる光に引き寄せられるように、食事を終えた人たちが次々と店に入って来る。
開店は32年前。夜もにぎわう広尾や六本木に近いことから、遅い時間でもくつろげるように深夜営業を始めた。ケーキは見た目も味も「シンプル」が身上。甘さ控えめのクリームが特徴的なミルクレープやシフォンケーキの人気は当時から衰えない。「ふわふわのシフォンが大好き。クリームも甘すぎないし、軽いから食後でも食べられちゃう」と、中学生のころから通う加田朝子さん(38)。職場のある渋谷で食事を終えた後に寄るので、この時間帯になる。
近くのレストランで食事をしてきたという男性1人と女性2人が入ってきた。「さんざん飲んでデザートまで食べたのに」と言いながらも、栗原美樹さん(51)はミルクレープを注文。「お酒を飲んだ後は、ファミレスじゃなくておいしいケーキとコーヒーを飲みたいですよね」
店の前の通りをひっきりなしにタクシーが走る。店内は静かになってきた。「バーじゃ読書できないから」と近所に住む29歳の女性は本を取り出す。友達と食事をすませ、家に帰るまでの時間を1人でゆっくり過ごす。
「そろそろ11時だよ、帰ろうか」。クオーターボトルのシャンパンと一緒にケーキを分けていたカップルが立ち上がった。店の外では「ちょっとお茶して行こうよ!」と大きな笑い声。まだまだ話し足りない女性たちが軽い足取りで入ってきた。
(塩見圭)
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ミルクレープをシャンパンと
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【ルエル・ドゥ・ドゥリエール】
東京都港区西麻布4の3の10の1階(広尾駅、TEL03・3409・1385)。午前11時〜翌午前2時半((日)(祝)は午後11時まで)。ミルクレープ、シフォンケーキなど各525円。飲み物付きのセットはホット1050円、アイス1155円。