地下鉄の出口から地上にあがると、
3月初旬だというのに20℃近いふわふわの春風が吹いていた。
見上げた空は、雲ひとつない快晴。
こういう陽気下でのトカイナカ探検ほど
楽しくて気持ちのいいものはない。
しかも、今回はついに田代温編集長がお出ましに!
いきなりの大御所の出現に、下っ端である
僕ら探検隊員の緊張は一気にふくれあが……
ることは、ち〜っともなくて、
むしろ、編集長に
「おなか空きましたよ〜。ご飯まだぁ〜?」
「あ、編集長、うんこ踏みそうになった」
などと言って、のっけから
参加を後悔させるのだった。
3人は、浅草通りを業平橋方面へと歩いた。
そして、すぐにそろって声をあげたのである。
「うおっ!」
「でかっ!」
「すげっ!」
建造中の東京スカイツリーが目の前にそびえ立っていたのだ。
40代の男3人は、思わずあんぐりと口をあけ、
都会のド真ん中でバカ面全開で空を見上げてしまったのである。
とにかく、デカイのだ……。
これまで建設中の東京スカイツリーは、遠くから幾度も
眺めてきたけれど、いざその根元から見上げてみると、
想像をはるかに超えたサイズに圧倒されるのである。
もはや「天空に突き刺さっている」と
表現したくなるような特別なスケール感なのだ。
業平橋駅のすぐそばにある東武橋に行くと、
カメラ小僧たちがズラリと並んでタワーを見上げていた。
「あ〜あ、デカすぎて、オレのカメラじゃ全部入らねえよ」
見知らぬじいちゃんが僕に愚痴を言いにくる。
工事中の土台を見ると、こう書かれていた。
《現在のタワーの高さ 304m》
「おお。このデカさで、まだ半分にも満たないのか。すげぇな」
編集長がまるで子供みたいに目をピカピカ
させているのが、なんだか愉快である。
このタワー、完成すると634メートルになるという。
(高さは「634」=「武蔵」という意味らしい)
また、地震や強風に強い日本古来の五重塔の構造を
現在の最新技術に置き換えて設計されているそうだ。
それにしても、半分でこの迫力ということは、
完成したら、いったいどれだけ驚きの建造物となるのか……。
見上げたタワーのずっと上を想像したら、
頭がくらくらしてくるのだった。
(2 につづく)