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2010.2.1(月)更新  東京トカイナカ探検隊
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東京トカイナカ探検隊
【東京トカイナカとは?】
都会のなかの田舎……。
つまり、世界有数の大都市・東京都でありながら、各駅停車しか停まらないという哀愁漂う駅周辺の町をわれわれはトカイナカと呼ぶのである。
そして、われわれ「東京トカイナカ探検隊」は、この哀愁の町に降り立ち、命をかけたり危険をおかしたり、辛いことをしたりはせずに、ひたすらゆるゆると周辺をさまよい歩くことで、どうでもいいけれどちょっと気になるビミョーな『お宝』を探し出すことを任務としているのである!
第28回 京浜急行線 梅屋敷駅
怪しいオトコと、億万長者への道♪
 
【探検隊プロフィール】
森沢明夫
森沢明夫
(書き手)
作家。1969年、千葉県生まれ。ノンフィクション「ラストサムライ 片目のチャンピオン武田幸三」で、第17回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。小説 「海を抱いたビー玉」は韓国でも人気を博し、「津軽百年食堂」は2011年春に映 画化が決定! 近著の「永遠のサッカー小僧 中村憲剛物語」もヒット中♪ 他 にも著書多数。B型、乙女座、ヒゲ、マッチョ♪ オフィシャルブログは、
http://blogs.yahoo.co.jp/osakana920
うぬまいちろう
うぬまいちろう
(描き手)
リアルからヘタウマまで!21の多彩なタッチを使い分ける天才?イラストレーター。1964年、川崎生まれ。ライター、フォトグラファー、ドラマーという顔も持ち、スカイパーフェクTV、つりビジョンにレギュラー番組を持つ天然パラノイア。著書に、廣済堂出版『新日本疑似餌紀行』、山と渓谷社『トラウト&サーモンのルアーフィッシング』他がある。B型、牡牛座、ヒゲ&メガネのプチ・マッチョ♪
http://www014.upp.so-net.ne.jp/ichiro_web/
梅屋敷の改札を出て、すぐ目の前に
活気あふれる「梅交会商店街」が左右に延びていた。
ぼくら探検隊は、例によってお宝を探しながら、
人ごみのなかをゆるゆると歩き出した。
気温は低いけれど、抜けるような晴天なので、
さほど寒さは感じない。冬の散歩日和だ。

「オレさ、年末ジャンボ、3枚バラで買ったよ。
億万長者になったら、やっぱり黙っておくべきだよね」
うぬまさんが歩きながら夢物語を語った。
「3枚? ぼくは買うなら10枚連番で買いますよ」
「なんで?」
「確率の問題ですよ。バラだと万一、一等が当たっても、
前後賞が取れないじゃないですか」
「あ、そっか。たしかになぁ……」
うぬまさんは、とても深刻な顔をしたけれど、
どうせ当たらないので心配しなくても大丈夫である。
そして、その深刻な顔のまま、今度は情けない声を出したのだ。
「ああ、腹減ったぁ。どっかで休んでいこうよ〜」
まだ、歩き出して1分である。
しかし、腕時計を見たら、午後二時過ぎ。
そういえば、今日はまだ二人とも昼食をとっていないのだった。

「じゃあ、おもしろそうな店を探して、
そこでご飯でも食べましょうか」
ぼくが言うと、うぬまさんはいきなりやる気になって、
歩く速度が倍になった。

商店街の一角に、昔ながらの手作りの製麺所があった。
その店先で、おじいちゃんが自家製麺のやきそばを焼いていた。
なんとも言えないソースのいい香りが、通りに漂っている。
「う、うまそー!」
二人で飛びつきそうになったとき、
製麺所のとなりのマンションの小さなエントランスに
ぼくは不思議な看板を発見してしまったのである。

やきそば


『のり』

『東京湾の釣り具』

そう書いてある。
「ん? うぬまさん、これ、何でしょうね?」
マンションの入口にある看板としては妙な感じだ。
「あ、ホントだ。なんでこんなところで、
のりと釣り具なんだろう……」
すでに空腹で頭の回らない腹ぺこ探検隊が
看板の前で首をかしげていたら、
目の前に一人の男性が仁王立ちして、よく通る声を出した。
「どうぞどうぞ、店はこの中なんで、見てってください。
こっちこっち、ほら、どうぞ、遠慮しないで!」

男性は、と〜っても怪しかった(笑)
かなりの大柄であるうえに、頭はまるで
パイナップルみたいなヘアスタイルなのだ。
モヒカンのてっぺんにゆるくウェーブがかかった感じである。
ヒゲをたくわえ、派手な白ふちの眼鏡までかけている。

「遠慮しないでいいですから、
お茶を出しますから、ほら、どうぞどうぞ」
尻込みしていたぼくらは、しかし、その男性の勢いにひっぱられて
マンションの階段を上がり、二階にある部屋に通された。

玄関で靴を脱ぎ、スリッパをはいて恐る恐る上がり込むと、
そこは360度、釣り具でいっぱいの異空間だった。
普通のマンションの一室が、なぜか釣具屋になっているのだ。
男は名刺を差し出した。
『ベイエリアのつりびと工房 代表 柳田雄治』
とあった。


につづく)

 
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