1両編成の車内に足を踏み入れると、板敷きの床。イタリアやポルトガルを意識した駅舎は海風にさらされ、哀愁を漂わせる。
太平洋に突き出した千葉県銚子市の中心街と、初日の出の名所として知られる犬吠埼(いぬぼうさき)周辺を結ぶ、全長6・4キロの銚子電鉄。キャベツ畑の間をゆらゆら走るのどかな景色がいま、危機にさらされている。乗客の減少に加え、昨年夏に前社長が業務上横領で逮捕される不祥事があり、行政や金融機関の支援が断たれてしまった。
「電車運行維持のために(名物の)ぬれ煎餅(せんべい)を買ってください」。悲痛な訴えが会社のホームページに載ったのは昨年11月。その直後、予想外の大ブレークが起こる。3日後には5千件の注文が殺到、販売店にも全国から客が押しかけ、開店前から行列ができた。
個人から寄付の申し出も相次ぎ、1月には市民有志が「銚子電鉄サポーターズ」を発足させた。週末に犬吠駅にブースを設け、1口千円の基金を募る。使い道は、老朽化した枕木の交換や踏切の修繕など。当面は2千万円が目標だ。テレビで知って、入会の呼びかけや駅の掃除を手伝っているという埼玉県日高市の会社員、三小田直樹さん(32)は、「なんとか自分で立ち上がろうとしている銚子電鉄を知れば知るほど、放っておけない」と話す。サポーターには、地元を離れた銚子出身者も多い。「電話口で20分くらい思い出を語る年配の方もいます」と、事務局の高倉宏幸さん(43)。
1カ月あまりでサポーターは2400人、基金は1100万円集まった。副代表の坂本雅信さん(48)は、「大人が何もしなかったからなくなった!と、子どもに言われたくないですからね」。
問い合わせは銚子電鉄サポーターズ事務局(0479・22・0811)。