実物見て「危機」を知る
体長20センチ、まるで漬物石のように大きなウシガエルがのっそり動くと、見ていた子供が歓声をあげた。傍らの女性が見入っているのは、そら豆のようにつやつやした、きれいな緑色のモリアオガエルだ。オタマジャクシの水槽には足の生えかけたものもいて、カエルの体の不思議さに改めて驚かされる。
東京・吉祥寺の「井の頭自然文化園」の水生物館で7月1日まで開かれている特別展。ニホンアマガエルをはじめ9種のカエルを展示して、録音した鳴き声を流し、生態や現状をパネルで説明する。タイトルは「カエルのピンチ」とうたう。
確かにカエルのすめる水田や川べりは減ってきた。昔から日本人になじみの深いトノサマガエル(トウキョウダルマガエル)は足に吸盤がないので、コンクリートで固められた側溝をよじ登れない。最近では、あまり姿を見かけなくなってしまった。
環境の変化に加え、「過去最大の危機」も迫る。オーストラリアやパナマのカエルを激減させた病気「カエル・ツボカビ症」が日本にも上陸した。「カエルを飼っている人は、野外に放したり、死んでも土に埋めたりしないで」と飼育係の荒井寛さん(45)。ツボカビ症がいったん野外で広がると対処のしようがない。「打てる手は輸入生物に関する法律を整備することくらい」
黒目がちのつぶらな瞳をきらめかせて、水槽の中でじっとしているカエルは、まるで自分たちの今後に思いをはせているように見えた。これから日本のカエルはどうなってしまうのか。心配で目が離せない。

◆ 井の頭自然文化園
午前9時半〜午後5時(入園は4時まで、水生物館は4時45分閉館)、東京都武蔵野市御殿山1丁目(吉祥寺駅、TEL0422・46・1100)。400円、65歳以上200円、中学生150円。小学生以下と、都内在住・在学の中学生は無料。(月)((祝)の場合は翌日)休み。