夏の花火大会の代名詞、隅田川花火大会は今年が30回目。例年より2000発多い2万2000発が夏の夜空にはじけ、川面を彩る。
30回とも打ち上げを担当し、今年は第1会場を受け持つ花火製造会社ホソヤエンタープライズの社長河野晴行さん(57)は「隅田川の花火が、全国の花火大会の盛り上がりに一役買ってきたね」と振り返る。浴衣を着て見物するスタイルも、ここから始まったのだという。
江戸時代から続いていた花火「両国川開き」は、62年にいったん幕を閉じた。高度経済成長期の、川の汚染などが主な原因だった。それが78年に名前を変えて復活。「その頃に比べると、隅田川はきれいになって、においもなくなった」
最近は、本来の芸術性を見直す傾向にあると河野さんは話す。音楽などの演出や、連射などの派手さではなく、一発一発の完成度が評価されるようになっている。今年は参院選の日程の関係で予備日がない。一発勝負だけに一層力が入る。
「花火大会で楽しんでほしいのは、お祭り感」。それが河野さんの持論だ。花火そのものはもちろんだが、地元の意気込みや浴衣姿のにぎわいなどがかもし出す雰囲気こそ、味わい深いと話す。「ここじゃあ、オツな人は花火が終わった後に引きあげていく屋形船を橋から見て、余韻に浸っているよ」。浮世絵にも描かれた、江戸情緒あふれる光景がそこに広がる。