味わい重視の風吹く
壁にずらりと整列した地ビールサーバーの前で、「麦酒倶楽部ポパイ」の青木辰男さんが次々と注文に応える。常時40以上ある樽からおすすめを聞くと、出てきたのは「ライジングサン・ペールエール」という1杯。赤褐色で、あのこんもりとした泡がない。それでも青木さんは「このビールは、泡がなくてもいいんだよ」と言う。飲んでみると、炭酸を感じない。その代わり、柑橘系の香りと濃い味わいが、口の中に広がった。
「地ビールに求められているのは、作り手の味」と青木さん。その「うまさ」を伝えるため、店にある40銘柄すべて、それぞれの個性に合うように炭酸量や注ぎ方を変えている。「職人のカンと技術に頼る地ビールは、二度と同じものができない。そこが楽しいよね」
地ビールの製造が解禁されたのは94年。現在、全国200から300の醸造所で1500銘柄が生まれている。ファン層の中心は、「『ゴクゴクぷはっと飲むのがビール』という先入観のない20〜30代」と日本地ビール協会の小田良司会長は言う。
大手メーカーのビールの中でも、「高級なプレミアムビールがここ数年売れ続けています」(サントリー広報部)。小田さんは、「香りと味を楽しむ地ビールへ風はきている。でも順風満帆というには、まだですね」と今後への期待を込めて話している。

◆麦酒倶楽部ポパイ
東京都墨田区両国2丁目(両国駅、TEL03・3633・2120)。よなよなリアルエール662円、富士桜高原麦酒ヴァイツェン609円ほか。午後5時〜11時半。(日)休み。