お隣の駅へ、できるだけ遠回り――。JRの特例を生かし、鉄道愛好家らに親しまれる「大回り」の旅。3月のダイヤ改定で、房総半島巡りができるようになりました。東京駅から神田駅まで9時間、スローな旅に編集部員2人が出ました。
「ETC割引で高速道路の料金が安くなっても、これにはかなわない!」
JR・私鉄の全駅で乗下車した経験をもち、漫画「鉄子の旅」(菊池直恵著、小学館)で個性的な鉄道旅を提案してきた横見浩彦さん(47)が豪語する。
130円で房総半島1周。
途中で改札を出られないが、「ジュース1本分のお金だけで長旅ができる」のが魅力という。ただ、同じ駅や区間を2度は通れない。拡大した路線図を見ながら慎重に乗車経路を決める。
切符買うの久々
7時半、八重洲中央口で切符を購入。最近のお供はもっぱらスイカやパスモなので、思わず「久しぶりっ!」と感激=
写真。
8時1分、京葉線に乗り込み、いざ出発。通勤の満員電車をよそに楽に座れる。15分程で東京ディズニーランドが見えたが、今日は窓から眺めるだけ。
海だ 内房の海だ
|
内房線のボックスシートは個室のようなくつろぎ空間。
| |

改札内に売店がある駅が少ないため、いったん電車を下りて駅弁「菜の花弁当」(550円)、「漁(あさ)り弁当」(1000円)、「千葉元気豚めし」(650円)をゲット。 「あっ海!」。上総湊駅あたりから、オーシャンビューが広がる= 写真。早くも旅のハイライトがやって来た。
|
|
|
南欧風の駅舎が目を引く。暖かい日差しとのんびりした電車のリズムに、ウトウト。 | |
あやとりの輪
目を覚まし、弁当を広げる。旬のアサリがぷりぷり=写真左。あり余る時間に弁当のゴムであやとりを始めると、隣の女性が「そんな短いのじゃだめ」と毛糸のひもをくれた=同右。小学生に教えるためポケットにしのばせているとか。電車旅の不思議な縁。懐かしい感覚がよみがえる。
|
東金線は5駅のみ。乗らなければこの旅は成立しない。
| |
込んできたよ
|
久々のロングシート。四街道駅で学生やサラリーマンがどっと乗り込んできた。あやとりが少し恥ずかしくなる。
| |
9時間で「大回り」
長時間乗車のため、自動改札は通れない。駅員に切符と経路図を見せ「大回りしてきました」=写真。スーツ姿の人で込み合う電車からビルが並ぶ風景を眺める。さっき見た海が夢のような気がした。