 都営大江戸線六本木駅
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朝8時半、都営大江戸線の六本木駅ホーム。電車を降りた乗客が一目散にエスカレーターを目指す。階段には若い人ばかりで、全体の1割以下。「メタボ世代」の中年サラリーマンたちは、通勤ラッシュに疲れ切っているようだ。
どの駅もホームが深い大江戸線で、とりわけ六本木駅は42・3メートルと最深。ホームから地上まで階段が265段ある。エスカレーターやエレベーターについ乗りたくもなるが、筑波大大学院の田中喜代次教授(スポーツ医学)は「階段の利用は、多忙なサラリーマンの健康維持の味方になる」と話す。
地下鉄の階段は踊り場が多く、疲れたら途中でエスカレーターに切り替えられる利点がある。無理をすると関節を痛めることがあるため、最初は「この区間だけは階段で」などのルールを作るのがよいとか。慣れてきたら「かかとを上げる」「一段抜かしをする」といった具合に少しずつ強化する。
田中教授は「習慣にすることが大切。コツコツと階段上りを続けると、2〜3週間で筋力や持久力の改善が見られる。毎日、元気よく上っているという自信は、仕事の活力にもつながります」。
「東京地下鉄巡礼団」として仲間と楽しむのは文京区在住の会社員稲富滋さん(61)。通勤途中に、休日に、階段巡りに励んでいる。
地下鉄は1日乗車券が比較的安価で、天候に左右されない。「頭上に根のような構造物が張り巡らされる飯田橋駅(大江戸線)は美しく、一部に段数表示がしてある永田町駅(半蔵門線)は上りがいがある。副都心線は駅のデザインを見ていて飽きません」
1段の高さを16センチとして計算。東京の地下鉄の全駅を制覇すると、富士山の標高を超えるという。

屋外にも、メタボ対策に効きそうな急勾配(こうばい)の階段がある。代表格が愛宕神社の男坂、通称「出世の石段」。会社員や散策の人たちが訪れる。
傾斜約37度、蹴(け)上げ22〜24センチ。踊り場はない。86段を上る時、怖くて振り返れない人もいる。一番上は風通しがよく、本殿でお参りをして一息。神職の松岡由里子さんは「上りも下りも人生のよう。一歩一歩踏みしめて下さい」。
港区愛宕1の5の3(神谷町駅、TEL03・3431・0327)。
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愛宕神社男坂
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霞が関コモンゲート大階段
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絵入りの階段があれば楽しいのに……と思っていたら、「霞が関コモンゲート」で見つけた。中央広場の大階段だ。39段の階段の側面に429年分の年号が刻まれ、所々に江戸時代の古地図や浮世絵、近・現代の霞が関周辺の写真が配されている。ただ、案内表示はなく、近寄らないと気づかない。(虎ノ門駅そば)
山手線の内側に650 街を彩る
「東京の階段」の著者で、早大理工学術院客員講師の松本泰生さんの話
住宅地図で確認したところ、山手線内側エリアの屋外だけで大小様々な階段が約650ありました。上りながら、一番上に広がる景色を想像するのは楽しい。花街の趣を残す神楽坂の「石畳の小道」(新宿区)、ツツジに囲まれる雁木(がんぎ)坂(港区)などは街にアクセントを与えます。上りがいがあるのは胸突坂(文京区)、駿河台男坂・女坂(千代田区)、亀塚公園(港区)あたり。
都心の景観は絶えず変わります。街路整備などで階段がなくなったり、幅や長さが変わったり。運動しながら、街を彩る階段に思いをはせてみてはいかが。
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「東京の階段」は126の階段と周辺の風景を写真付きで紹介。日本文芸社。1680円。
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(2009年5月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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