
若い緑のモミジに包まれた覚園寺(かくおんじ)の参道の先に、茅葺(かやぶ)き屋根の薬師堂が静かにたたずむ。
初めてここを訪れた2年ほど前、仏像ガールの心は深く傷ついていた。信頼していた友人の裏切り、一人ではどうにもできない心の痛み。しかし、薬師如来と対面した時だった。水晶でできた目にゆらゆらと光が宿り、優しく潤んでいるように感じた。「やっぱり仏像は美術品じゃない、生きてるんだ」。涙が止まらなかった。
仏像と会うのに難しい知識はいらない、と言う。誰が、いつ、どんな技法で作ったかは後回し。仏像と目が合う場所に立ち、何も考えず、頭を空っぽにして手を合わせ、そして感じる。仏像ガールの流儀だ。
「仏像の素晴らしさは、人の形をしているところ。目があり、耳がある。だから『会える』んです。話しかけて、耳を澄ませてみてください」。