自由に楽しくステッチ
 作業中の大図さん。器用に針を動かして、細かい図案を縫う
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「これまでの刺繍のイメージが『クラシックと紅茶』なら、僕のは『ラジオとコーラ』」。そう話すのは刺繍作家の大図まことさん(29)。針と糸を使うが、「独学だし、手芸作家のつもりはない」。数ある技法の中で使うのはただ一つ。糸をX形に交差させるクロスステッチだ。
小学校で習って以来、手芸は身近だった。酒屋の店員だった5年前、「何かを作りたい」と取り組んだのが編み物やミシンの作業。趣味のイラストを見た知人から「刺繍の図案に合いそう」と言われ、刺繍を始めた。
ステッチは面白かった。が、高度な技術を身につけても、作品にどう生かしたらいいか戸惑い、試行錯誤。そうするうち、自分の図案にはクロスステッチが最も似合うことがわかった。
ユニークな図案とポップな色使い、コンピューターゲームを思わせるガタガタとした輪郭が特徴だ。「いつも目にする普通の物も、刺繍にするとかわいくなる」。とにかくかわいく、が大図さんの創作のルールだという。
「思い通りに図案を表現したければ、絵を描けばいい。絵に比べ、刺繍には表現に制限もあるが、そこが僕の図案とぴったり合っているんです」
 右上から時計回りに、時計型ブレスレット「オレックス」、トラのマット、学校で使う道具の刺繍、昆虫の「刺繍標本」
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大図さんの活動は、公式ホームページhttp://www.theminthouse.comで。
●トーキョーハンカチライフ
6月29日(月)までの午前10時〜午後6時((金)は8時まで)、東京都港区六本木7丁目の国立新美術館地下1階、SFTギャラリー(乃木坂駅、TEL03・6812・9933)。(火)休み。大図さんの図案を刺繍したハンカチを展示中
=写真は大図さんによるイメージ。
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多彩な表現 8組展示
「針と糸は身近なもの。作品が、見る人の様々な思い出や記憶を引き出すきっかけになると思う」と話すのは、東京都庭園美術館の学芸員、八巻香澄さん。針と糸による現代美術作品を集めた企画展を担当している。
途切れとぎれの縫い目をたどると、風景や動物の形が浮かび上がる伊藤存さんの作品=写真=や、割れた食器を題材に、記憶をつなぎとめるかのように針と糸を使う竹村京さんなど、同じ素材ながら参加作家8組の表現は多彩だ。「技術の高さではなく、ひと針に込めた時間や各作家が見いだした針と糸の意味を感じてもらいたい」と話す。
●「Stitch by Stitchステッチ・バイ・ステッチ――針と糸で描くわたし」
7月18日(土)〜9月27日(日)、午前10時〜午後6時(8月10日〜16日は8時まで。入館は30分前まで)、東京都港区白金台5丁目の都庭園美術館(目黒駅、TEL03・3443・0201)。1000円、大学生800円、小中高生と65歳以上は500円。7月22日、8月26日、9月9日、24日休み。期間中、男性手芸グループ「押忍! 手芸部」や、伊藤存さんによる刺繍のワークショップを開催。