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2009.9.15(火)更新  芸術の息吹 街を変える
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芸術の息吹 街を変える
 廃校や自然など地域の資源を生かしたアートイベントが増える中、それを街再生へとつなげる動きが各地であります。さまざまな仕掛けを試みる人々の熱い思いと、芸術の息吹が交差する街に出かけてみました。(加藤千絵)
 
再生願って防犯ツアーも
粘土で作った人形を写真作品にする関本さん=横浜市中区初音町のヤグチレジデンス
粘土で作った人形を写真作品にする関本さん=横浜市中区初音町のヤグチレジデンス
横浜・黄金町
 高架下の狭い路地で、ぎこちない笑顔を浮かべた女性の人形の写真がショーウインドーに飾られている。「何これって思ったら、気軽に中に入って」と写真家の関本幸治さん(39)が笑顔で招き入れる。

 撮影用の人形が散らばる関本さんのアトリエは、かつての「飲食店を装った売春宿」。京浜急行日ノ出町駅から黄金町駅にかけての一帯にはこうした違法飲食店が200以上軒を連ねていたが、05年に警察と行政、地元住民が撲滅運動を開始し一掃した。

 現在、空き店舗に美術家や小説家、劇団ら19組を呼び込み、街の再生を図っている。その空気を感じてもらおうと、関本さんら入居者とゲスト作家による「黄金町バザール」が開かれている。2回目の今年は、アトリエを一斉開放したりワークショップを開いたりするほかに、防犯や歴史をテーマにしたツアーを企画。パンフレットに地元飲食店の紹介を盛り込むなど、「まちあるき」を打ち出す。

 週末には、薄暗い路地を家族連れが歩き、近所の小学生がアトリエを遊び場にする。しかし街のあちこちに警官が立つなど近づきがたい空気は完全には消えていない。再生活動の先頭に立ってきたNPO黄金町エリアマネジメントセンターの山野真悟さん(58)は「先手を打っていかないと逆流もあり得る。黄金町は変わっているというメッセージをテンポよく発信し続けたい」と表情を引き締める。

 
学生巻き込み「50年計画」
東京・千住
 電気の秋葉原、古本の神保町、そして芸術の千住と呼ばれたい――。NPO千住芸術村を立ち上げた加賀山耕一さん(53)は「誇大妄想ってよく言われるんですけどね」と笑う。

 東京芸大千住キャンパスができた翌年の07年から、空き家になった生家をアトリエ「おっとり舎」として学生に貸している。それを機に、空き店舗を利用した芸術の拠点づくりを進め、今年7月には二つ目の「スズロハコ」が完成。取材した日は絵画科の学生が、芸大祭に向けて最後の追い込みをかけていた。

 2012年までに帝京科学大と東京電機大が進出する計画があり、千住地域に今後さらに学生が増える。しかし周辺商店街の腰はまだ重く、拠点は思うように増えていない。地域の理解を求めようと、11月には街をギャラリーに見立てた「千住まちかど美術館」を開く予定だ。

 「芸術村になるまで50年かかると思っています」。気長に構える加賀山さんの目標は、1年に1拠点つくることだ。

▼黄金町バザール 9月27日(日)まで。拠点は横浜市中区日ノ出町2の158のNPO黄金町エリアマネジメントセンター(TEL045・261・5467)
▼千住まちかど美術館 11月1日(日)〜30日(月)。足立区千住緑町3丁目のおっとり舎とスズロハコほか、周辺商店街の店舗に学生らの作品を展示。NPO千住芸術村(TEL050・3028・8101)
▼墨東まち見世 12月9日(水)まで、墨田区北部の複数の拠点で。11月21日(土)〜12月6日(日)は参加アーティストがそれまでの取り組みの報告と展示を予定。都の施設などに案内図あり。事務局(TEL090・8100・0910)
▼向島アート展 9月30日(水)まで。事務局は墨田区向島5の50の3の鈴木荘1階(TEL090・4930・2805)。いずれも詳細はホームページで。

 
墨田区で2イベント
墨東まち見世
墨東まち見世
 地域で使い古した電球500個を集めて球体作品にしたり、家庭料理を缶詰にして記録したり。アーティストがアトリエを飛び出し、地域の人と対話しながら制作活動を繰り広げる「墨東まち見世」が東京都墨田区で始まっている=写真。100日間の会期のほとんどが制作過程を見せるもので、「展示室に作品が並んでいると思って来るとはぐらかされます」とディレクターを務める曽我高明さん(51)。「住民とアーティストが浸透し合えれば」と熱っぽく話す。

 
向島アート展
 昭和の情緒が残る向島の「鳩の街通り商店街」。ここのカフェや工房で、画家やイラストレーターら約30人の作品を展示する。デザイナーの樋口雄一さん(58)が発表の場を求める仲間の作品を展示販売しようと、今年初めて企画した「向島アート展」だ。七つの会場をスタンプラリーでつなぎ、散歩も楽しめるように工夫している。
 
 
(2009年9月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
 
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