料理が目に浮かぶ器
 「魯山」で若手作家と言葉を交わす大嶌文彦さん(左) |
大嶌(おおしま)文彦さん(55)が東京・西荻窪に「魯山(ろざん)」を開いて26年になる。扱う品は現代作家の新作もあれば古器もあり、価格は千円台からと幅広い。主人自ら制作したランプシェードのあかりが店内をともす。店には工芸品を買い求める客だけでなく、物づくりを志す人や料理研究家も助言を求めにやってくる。
大嶌さんが大事に思うのは、よい器なら「ぱっと見て載せる料理が具体的に浮かぶものであること」。店の雰囲気にのまれずに「買う前に15分は考えることが大切」とも。最近は、客用に購入するのではなく、日々使うものとして必要な数だけを買う人が増えたという。
日常使いとしての工芸は、制作する側にも求めている。
11月のある日、陶芸家の男性(31)が自作の品々を持ち込んできた。大嶌さんは手に取りながら「この浅いのは何に使うの?」「用途がわからないのは売りにくいから、梅干し入れとか決めて作って」と矢継ぎ早に話しかけ、アドバイスしていた。
ちなみに、大嶌さん愛用の土瓶。柄やふた、注ぎ口に身近なもので修理した跡が残る。年月を経たつぎはぎだらけの器は、用いることで生まれる美しさを静かにたたえていた。
■魯山
東京都杉並区西荻北3の45の8(西荻窪駅、TEL03・3399・5036)。午前11時〜午後7時。(火)休み(11月19、20日は展示替えのため休み)。