目の前に迫る大輪の花に、全身を揺るがす大音響――。6日、静岡県熱海市で「忘年 熱海海上花火大会」が開幕した。300メートル上空で花開く「尺玉」やハート形の「型物」が次々と打ち上がり、見物客の歓声と拍手がわき起こる。
打ち上げと演出を担当した「イケブン」(同県藤枝市)の花火師・飯塚史久さん(33)は「冬は湿度が低く空気が澄んでいるので、ひときわ鮮やかに見えます」と話す。三方を山に囲まれた熱海は、自然の音響効果もだいご味。その臨場感は冬こそという。
半面、飯塚さんは「見栄えがいい分、作品の意図を伝えやすいので、腕を試される」とも。来年の新作花火の試し打ちやクリスマスを意識した演出など、冬ならではの見どころは多い。23日は約3000発を打ち上げる。
25分ほどのステージのフィナーレは、白銀の花火が滝のように降り注ぐ「大空中ナイアガラ」。明るくなった夜空を背に、肩を寄せ合う人々のシルエットが浮かび上がった。男性と毛布にくるまって見ていた女性は「あまりにきれいで寒さを忘れていました」。
花火専門の写真家で、各地で花火大会のプロデュースなどを手がける「ハナビスト」の冴木一馬さん(52)は、冬の花火は「以前は雪国のイベントの一部という感があった」と話す。ここ数年は、閑散期の観光客誘致や、クリスマスや年末イベントの盛り上げにと、大々的に打ち上げられる機会が増えているという。冴木さんは「漆黒の夜空に尾をひく火の粉の線が、夏よりも細くくっきり写る。花火の種類や色も見分けやすいので、いいものを見たいなら冬の花火大会に足を運んで」と話す。
■■ 忘年 熱海海上花火大会 ■■
12月23日(水・祝)午後8時20分から熱海湾で開催。問い合わせは熱海市観光協会(0557・85・2222)。