60年前にフランス政府の公式機関「東京日仏学院」が置かれた東京・神楽坂は、多くのフランス人やフランス好きを招き入れます。本国を思わせる店や施設が点在し、石畳や細い路地が連なる「プチ・フランス」を歩いてきました。

「神楽坂は、老舗の料亭といった日本の伝統とフランス文化が共存する街」。20年間のフランス滞在経験を著したエッセイストで、25年ほど前から神楽坂に住む吉村葉子さんの印象だ。
吉村さんは、パリの路地裏の喫茶店を再現したというジョルジュ・サンドを営む。豚肉のパテなどのサンドイッチやマドレーヌが主なメニューだ。
「街並みに残る江戸情緒や、それを守ろうとする住人の気風がフランス人をひきつけるのかしら」と吉村さん。「彼らも自分の街を大切にするの」
 吉村葉子さん(左)とL・ベルトランさん =ジョルジュ・サンド |
吉村さんの友人のラーシェ・ベルトランさんも、神楽坂の情緒にひかれてクレープ料理店
ル ブルターニュを1996年に開いた。そば粉で作る生地に生ハムやチーズを包む伝統料理「ガレット」を紹介した当時、日本でクレープといえば小麦粉を使った甘い菓子。故郷の味を知ってもらおうと腐心した。
フランス料理店レストランかみくらは築50年超の日本家屋で営業(予約制)。「和と洋がミックスされた街の雰囲気に合うように」(運営する文商事の渡辺さとしさん)と、みそやわさびを隠し味に使った、箸で食べられる料理を提供する。
チーズ専門店のアルパージュには、常時約250種がそろい、約8割がフランス産。チーズをその場で切り売りする方式もフランスと同じだ。 (河瀬久美)