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2010.8.17(火)更新  トラベル/郷土料理の旅 第二十回 奈良県・柿の葉ずし
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郷土料理の旅
【第二十回 奈良県・柿の葉ずし】
先人の知恵が生んだ
柿の葉香る伝統食

 奈良土産として定着している「柿の葉ずし」。
 貴重な海の幸を使ったごちそうとして、 古くから奈良の人々に愛されてきました。

取材・文/上原理恵 撮影/高嶋佳代
地図

柿の葉すし(写真右)、八重桜(同左上)、柿の葉すしをにぎる様子(同左下)
(1)「柿の葉ずし」(920円)。奈良の地酒「白滴」が合うという
(2)柿の葉ずし、茶がゆ、くずきりなど8品が付く「八重桜」(3680円)
(3)秋には紅葉した柿の葉を使うこともある

吉野の山村で生まれた味
 興福寺や猿沢池にほど近い、奈良市の中心部。古都の風情を醸す静かな路地に「平宗(ひらそう) 奈良店」は店を構える。県中部の吉野町にある本店は江戸末期の創業。吉野地方の家庭で食べられていた「柿の葉ずし」を、初めて商品として売り出した店とされている。

 柿の葉ずしとはサバやサケ、コダイなどの魚を酢で締めて酢飯にのせ、柿の葉で巻いた押しずしのこと。葉を広げ、サバがのったすしをほおばると、甘酸っぱい米にサバがなじんだ上品な味わいが広がった。ほんのり、柿の葉がさわやかに香る。

 海のない奈良県でも特に山深い吉野地方。車などない時代、熊野灘から運び込まれた魚が貴重だったことは想像に難くない。柿の葉ずしは、ごちそうとして祭りや祝いの席で振る舞われた。柿の葉を使うのは防腐の役割があるからといわれる。 「食材を長持ちさせるための先人の知恵です」と、奈良店店長の黒木貴光さん(36)が教えてくれた。

 店では主に、初夏に取った渋柿の葉を塩漬けにして使う。米は同県産の「ヒノヒカリ」。葉で包んだすしを木箱にすき間なく詰め、重しをのせて一晩押す。多い時には一日3千個を握るという。

 
控えめさこそが魅力
黒木貴光さん
「ここでしか味わえないものを提供したい」と黒木貴光さん
 宮崎県出身の黒木さんは料理人として関西各地で修業を積み、2年前に店長となった。黒木さんにとって柿の葉ずしは「奥が深くて難しい存在」。調理してすぐに出す料理とは違い、気候や食材の状態による味の違いが現れやすいのだという。特に重視しているのが塩の量。暑いと塩が回りやすく塩辛くなるため、気温をにらみながら加減する。微妙な変化を見逃さない日々の努力が、伝統の味を守っている。

 ほうじ茶で炊いた「茶がゆ」、吉野くずを使った「ごまどうふ」などの郷土料理も提供している。「京料理などと比べると、どうしても華やかさに欠けますね」と黒木さんは苦笑する。しかし、その控えめさが魅力という。言われてみると、落ち着いた奈良のたたずまいには素朴ながらも奥深い味わいがしっくりとくる。

 平城遷都1300年を迎えた奈良。古都が育んだ味を楽しみながら、悠久の流れに思いをはせてみては――。


平宗 奈良店
■ 平宗 奈良店

 奈良市今御門町30の1
 お問い合わせは0742・22・0866
 午前11時〜午後8時半(ラストオーダー)
 柿の葉ずしの持ち帰り、電話注文も可。奈良漬け味のジェラート(350円)などの新メニューも

 
奈良の歴史に触れる 平城遷都1300年祭

大極殿
 12月末まで、平城京の歴史や文化を紹介する展示やツアー、体験イベントなどを県内全域で展開。メーン会場の平城宮跡会場(奈良市佐紀町ほか、11月7日まで)では復元された大極殿=写真=や遣唐使船の公開、当時の都の姿を再現したバーチャル映像の上映、柿の葉ずしや奈良漬けといった名物の販売などがある。
 お問い合わせは平城遷都1300年祭コールセンター (0742・25・2010)
 http://www.1300.jp/

 
(2010年8月17日、マリオン・ライフ、マリオンプレゼント掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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