言葉≠フせ、伝える太鼓
文字のない時代から、ジェンベ(ジンベとも)は音楽を楽しむだけでなく、西アフリカの村々での通信手段としても使われてきたという。
発祥地は現在のマリ、セネガル、ギニアなどの地域で、そこに住むバンバラ族が生み出したとの説が有力だ。今では西アフリカ一帯で親しまれている。
ジェンベの語源は、バンバラ語の「ジェベ・バラ=調和の太鼓」の意味だという。人々が集まり踊りを楽しむとき、婚礼や埋葬のときの伴奏として、今でも人々の和に密着している。
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構造は杯型にした丸太をくり抜き、広い方の口にヤギや牛の皮を張るだけ。小さい方の口は開けておく。金属でできた花びらのような、セセという飾りをふちにつける場合もある。
真ん中をたたくと「ドーン」と腹に響く低音、端をたたけば「ポンポン」という柔らかい音、縁を手のひらでたたくと金属のようなかなり甲高い「カーン」という音の3種類が出る。
ただ、音色よりもリズムやテンポが重要で、「年配の女性のためのリズム」「祝い事のリズム」など、意味を持った数百種のリズムがあり、他の太鼓などとの組み合わせで意味が決まるものもあり、それこそ言葉のように複雑だ。
◆直輸入のジェンベを販売
日本で活躍するジェンベ奏者ラティール・シーが、故郷セネガルより直輸入した楽器を販売。アフリカのディンブという木を使い、ヤギの皮をはったもの。購入後の皮の張り替えなどの修理は、ラティールがしてくれる(有料)。
問い合わせはロッド・アフリカ(TEL0467・23・3654、http://www.takako-shirai.jp/main/index9.html)。
◆映画「東京ダンシング!アフリカ」(糸川燿史監督)
02年4月、セネガル国立舞踊団首席ダンサーのタコ・シソコ、伝説のジェンベ奏者アブドゥライ・ジャハテが来日して開かれたワークショップの模様を描いたドキュメンタリー。今秋公開予定。
◆アフリカ大陸
東京都武蔵野市南町2丁目(吉祥寺駅、TEL0422・49・7302)。セネガル出身の店主が作る西アフリカの家庭料理=写真。オクラをトマトとオニオンベースのソースで煮込んだ「オクラシチュー」と、プランテーンというバナナをゆでた「ドド」のセット(900円)がお薦め。毎月、アフリカの楽器を楽しむライブを開催。次回は5月21日(金)午後7時半。
営業は午後7時〜午前2時ごろ、(月)休み。
◆砂川正和のジェンベ入門クラス
東京・池袋の東京芸術劇場地下2階リハーサル室(池袋駅)。6〜8月の第2、4(日)、午前11時(全6回)。構え方、音色の出し方など基本から指導する。1クラス定員5人。2万5000円。楽器のレンタルは要相談。
3年以上の経験者を対象にしたオープンクラスも開催。毎月第2、4(日)(5月23日休み)、午後3時15分。1回4000円。楽器レンタルは要相談。
問い合わせはウォークトーク・柳田さん(TEL03・3484・5019)。
◆ラティール・シーのアフリカンリズムを楽しもう
東京都新宿区大久保2丁目(新大久保駅、TEL03・3208・8377)。ケーナ、チャランゴ、サンポーニャなどを個人レッスンで。講師は「グルーポ・カンタティ」メンバーのエルネスト河本、島田静江ら。入会金5000円、月3回1万2600円〜。ほかにグループレッスンも。
◆本「アフリカの太鼓で踊ろう」
舞踊民族学者の柳田知子著。ジェンベの基礎知識から演奏法や練習法といった実践までを紹介している。A5判、119ページ。1680円(音楽之友社)。
◆アフリカンフェスタ
5月15日(土)、16日(日)、午前10時〜午後5時(15日は正午から)、東京・日比谷公園(日比谷駅)。白井貴子さんと、ジェンベ奏者50人のコンサートで幕開け。音楽、医療、スポーツなどの各分野の専門家が話す「アフリカおもしろレクチャー」、ダンスや料理、太鼓を体験できるワークショップ(ジェンベは16日午後1時半)など。NGO団体の物産、民芸品展、アフリカ料理をそろえたコーナーなども。
問い合わせは事務局(TEL03・5472・7315)。
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楽器に新たな命吹き込む
池田 正博(26)
「ジェンベは、たたいて初めて呼吸をする」
と池田は言う。
自分が単なる「演奏家」ではなく、「音楽家」だと考える池田は、曲作りはもちろんだが、楽器作りも自分でこなす。
倒木を探し、チェーンソーで切断してくりぬく。堅い木ほどいい音が出るが、その分、刃がなかなか入らない。腕中に湿布をしながら、2週間以上かけて丸太を太鼓の形に変えていく。
形が整ったら、皮張りだ。ふつうはヤギや牛の皮だが、池田の好みは柔らかい鹿皮。北海道まで出かけエゾシカを自ら解体する。ハサミとナイフで皮から肉や脂肪を取り除き、せっけんで油を洗い流す。毛をそいでなめし、木にはり付けたら完成。
手作りの楽器は、二つとして同じ音は出ない。気温や湿度などにも反応し張りや音色が変わる。楽器は生きている、というゆえんだが、池田はまさに、生き物の体を楽器に変えてゆく様を体感している。その楽器を演奏することで、また新たな命を吹き込むことを感じる。動植物の生命を譲り受けたジェンベへの敬意もわく。
力いっぱいジェンベをたたいた池田の手は、油分を太鼓の皮に吸い取られてカサカサになる。まるで、池田の生命力が吸い取られるかのように。
エール 音楽のルーツ
歌手・白井貴子さん
テレビ番組のロケで訪れたセネガルのある村で、「ジェンベの王様」を囲んだ大合奏を目にしました。どこからともなく集まってきた百人を超える人たちのパワーは、大地の鼓動のようでした。ジェンベの躍動感あふれるビートこそ、ロックやジャズなどすべての音楽のルーツだったのだと感じさせられました。アフリカンフェスタ(記事左下)では、その感動をテーマソングにのせてお届けします。
これまでのコラム
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
●タブラ(インド) 吉見 征樹
●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
●ケーナ(ペルー) 田中 健
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