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2004.5.27(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅    古筝(中国)  
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光る水面、天の風の響き

 その名の頂きに「古」を持ちながら、廃れることなく2千年あまりの長きにわたって愛されている中国の伝統的な民族楽器であり、邦楽界になくてはならない存在の琴、その祖である。
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 起源は、春秋戦国時代にまでさかのぼるといわれる。キリの木で作った長方形の胴体に弦を張り柱を立てて調律する、形は日本の琴と大差ないが、注目すべきは弦の数だ。当初は5本だったらしいが、時代と共に数を増やし、唐の時代、13弦のものが奈良時代の日本に伝わり、根付いたとされる。古筝はその後、明、清の時代に15、16弦と変化を遂げ、現在はスチールを芯に、ナイロンや絹を巻いた糸を用いた21弦が主流だ。

 金属弦ゆえの透明感のある音はハープにも似て、ときに陽光を照り返す、ないだ湖面のごとく穏やかに、ときに天かける風雲のごとく勇壮に響く。

   *     *   

 近年では、転調用のペダルを持つ25、26弦や、義爪(ぎつめ)を両手に着けての奏法なども登場。新旧、東西の領域を問わず、その表現力の豊かさで様々な曲の演奏を可能にしている。「古筝」が新鮮さを失わず、人々を魅了し続けるゆえんともいえよう。


◆伍芳「万華鏡」 
 7枚目にして初のベストアルバム=写真上。「春よ、来い」などのカバー曲のほか、自身の作曲による「重逢」「彩虹橋」など4作品を含む全13曲。「花咲く旅路」の演奏風景を収めた、映画監督・田中光敏演出による映像も。2600円。 

 同名写真集(同下、©TAMJIN)は通信販売で入手可。2000円。送料別。問い合わせはFang fan Club(TEL03・3481・0506)

上記CDを5人にプレゼントします
応募は6月3日まで

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世界の民族音楽CD
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◆2004初夏の建長寺邦楽演奏会
 和太鼓集団「鼓童」の元メンバーで篠笛奏者の狩野泰一と、映画「ラストエンペラー」に音楽参加、サントリーのウーロン茶のCM曲などで知られる古筝奏者、姜小青の共演。
 6月5日(土)、午後1時半と午後4時半、神奈川県鎌倉市の建長寺龍王殿(北鎌倉駅)で。全席自由。3500円、昼食付き6000円。問い合わせは湘南リビング新聞社(TEL0466・27・7411)。


◆映画「精霊流し」(写真、©2003「精霊流し」製作委員会) 
   田中光敏監督。生みの母と育ての母の間で揺れる青年の心の動きを描く。さだまさしの自伝的小説が原作。伍芳が音楽参加、哀調ある古筝の音が切なさを誘う。出演は内田朝陽、松坂慶子ほか。東北新社よりDVD(4935円)発売中。


◆中国飯店 富麗華
古筝や二胡、琵琶の生演奏   東京都港区東麻布3丁目(麻布十番駅、TEL03・5561・7788)。アンティークな調度品に囲まれた落ち着いた店内で、香港出身の総料理長を始め、中国本国から招請されたシェフらによる本格的な中華料理が味わえる。日替わりで古筝や二胡、琵琶の生演奏も楽しめる=写真
 午前11時半〜午後2時(平均予算・4000円)、午後5時半〜午後10時(同・1万2000円)。無休。


◆春秋戦国時代
 古代中国で周王朝が洛陽へ遷都した紀元前8世紀から群雄割拠の乱世を経て、秦によって統一がなされるまでの約550年間のこと。日本はまだ縄文〜弥生時代だった。

伍芳(ウー・ファン)

喜びも悲しみも弦にこめて
伍芳(ウー・ファン)

奏  雲間から差し込む一条の光が音をたてるなら、かくや。伍芳の小ぶりな両手が奏でる音色は、聴く者を敬虔(けいけん)な祈りの境地へと導く。

 幼少の頃から古筝に親しみ、上海音楽学校を首席で卒業。その後、姉を頼って日本に留学する。兵庫県西宮市に身を置いた彼女は、背丈ほどもある楽器を抱え、演奏の場を求めて東奔西走し、聴衆の拍手を糧に成長していった。しかしそのさなか、阪神大震災で最愛の姉を失う。悲しみに暮れる彼女には、がれきの下から奇跡的に掘り起こされた古筝が残った。

 ぼう然とする中、「被災者を励ます演奏会をしてもらえないか」と頼まれた。姉が好んだ曲を演奏するうち、深い悲しみが「古筝を弾き続けていこう」との気持ちに向かっていった。姉の導きかと感じた。

 「形あるものは壊れるが、物はお金を出せば手に入る。でも、命や音楽は失われたら取り返しがつかない」。だから「自分の中の音楽を奏でなければ」と、作曲を始めた。絶望を経て、曲想は止めどなくわいた。

 今彼女は、「演奏席が特等席」と話す。最上の音が聴けるその場所で、自らが一番癒やされ、救われているのだという。なるほど古筝に目を落とし、弦をつま弾くその横顔は慈愛にさえ満ちている。


エール 天女が舞う音

歌手・南こうせつさん 台湾大地震のチャリティーコンサートでの共演が、僕と伍芳、そして古筝との出会い。初めて聴いたのに、アジア人のふるさとを連想させる懐かしさを感じたな。それに、奏者もさることながら、指使いの美しさに驚きました。まるで天女が舞い降りて演奏しているみたいで。縁側で恋人と2人、ライチを片手に月を眺めながら聴きたいなぁ。官能的で、妖艶(ようえん)な音だから……。なんて、これは伍芳が弾いていたからかもね。


 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
(2004年5月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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