風雪に負けぬビート
日本の音楽の中では際だった激しさを持つ。バチをたたきつけてビートを刻みながら、弦をすくって迫力ある音を奏でる。絶妙な間合いとスピード感あふれる早弾きに引き込まれる。
義太夫と同じ太棹(ざお)で、音の幅が広く、低音が響く。譜面はなく、ほとんど即興だ。
元々、目の不自由な人のなりわいの一つだった、津軽の「ホイド(乞食)芸」が原点。盲目の男芸人「ボサマ」が家々に門付けし、演奏と引き換えに米や小銭をもらった。大きな音を出すのは、東北の吹きすさぶ風雪に音がかき消されないため。人と同じ弾き方を嫌い、客を引きつける、派手でトリッキーな奏法を編み出していった。
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津軽三味線が音楽としてのジャンルを確立したのはそう古くはなく、百年ほど前のこと。津軽三味線の祖とされる仁太坊が、弦を力いっぱいたたく「たたき三味線」を江戸末期から明治にかけて編み出し、後に弟子の白川軍八郎や、初代高橋竹山らが、派手で繊細な曲弾きを加えた「弾き三味線」を生んだ。
本能に訴えるような強く激しい音色は、今の若者の目からも「かっこいい!」。若い奏者たちは、ロックな楽器として洋楽とのセッションなどに乗り出している。
◆上妻宏光「Beyond」(写真)
coba、渡辺香津美ら多彩なゲストミュージシャンを迎え、指やギターピックなど新しい奏法に挑戦した10曲。3000円。
上記CDを5人にプレゼントします
応募は6月17日まで

提供
 カルタコム
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◆上妻宏光ワークショップ
8月22日(日)、東京都渋谷区神宮前2丁目のCOPA TOKYO(外苑前駅)。公開レッスン方式。参加希望者は、自分の演奏を録音したものを6月末までに送付。応募先など詳細はホームページ(http://www.agatsuma.tv/)か、モンドラナミュージック(TEL03・3493・5176、平日正午〜午後6時)。
◆民謡の店 浅草 追分
東京都台東区西浅草3丁目(入谷駅、TEL03・3844・6283)。吉田兄弟の兄、良一郎さんが修業したことでも知られる民謡酒場。津軽三味線や民謡のステージ=写真=が1日3回(午後7時半、9時、10時半)。
営業時間は午後5時半〜午前0時。(月)休み。
◆三味線かとう
東京都荒川区東尾久6丁目(東尾久3丁目駅、TEL03・3892・6363)。多くの演奏家が愛用するエレキ三味線「夢絃21」を製造販売。同シリーズは18万9000円から。通常の津軽三味線は12万5000円から。三味線教室の紹介もしている。 ▼8月21日(土)午後5時、同店主催の三味線バンドコンテスト「東京バトル」をサンパール荒川(荒川区役所前駅)で開催。2500円。
◆映画「オーバードライヴ」(写真)
人気絶頂ユニットの天才ギタリスト・弦(柏原収史)は、記者会見中に突然クビを宣告される。おまけにひょんなことから誘拐され、人里離れた屋敷で三味線修行が始まる……。筒井武文監督。鈴木蘭々ら出演。テアトル新宿(TEL03・3352・1846)、テアトル池袋にて初秋公開予定。
◆木下伸市「津軽三味線スタイルブック」プレゼント
津軽三味線の第一人者といわれる木下伸市さんが、自身のエピソードや、弾き方の基本を初心者にもわかりやすく解説した一冊。巻末に収録した「津軽じょんがら節」などの譜面を演奏したCD付き。A5判、128ページ。2100円(シンコー・ミュージック)。
読者3人に。はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、電話番号を記し、郵便番号101・8450東京都千代田区神田錦町1の14、シンコー・ミュージック営業部「津軽三味線スタイルブック」朝日係(TEL03・3295・4191)。6月17日消印有効。抽選。
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父がくれた津軽三味線が原点
上妻宏光(あがつまひろみつ=30)
もの心ついたころから聞いていた父の三味線は、耳を通り過ぎるだけだった。6歳の時、父が津軽三味線に変えたとたん、耳が立ち止まった。晩酌の後の練習を聞いて、「かっこいい!」と、幼いながら独特のビートに衝撃を受けた。父にせがんで同じ教室に通い始め、たちまち父の間違いを指摘するほど上達した。息子の方が才能があると思ったのか、程なくして三味線をやめた父に「趣味を奪ってしまったかな」とも思う。父は特にはっぱをかけるでもなかったが、小学4年生の時250万円もする津軽三味線を買ってくれた。そこから、奏者上妻がスタートした。
数々の大会で優勝した頃、茨城県出身ということで、「それは津軽の音ではない」と言われ、悔しい思いをした。反骨精神も手伝って、青森ではなくあえて東京で勉強することを選んだ。
ロックやジャズとのセッションも積極的にこなし、海外へ武者修行にも出た。海外の人々の反応はいつもおもしろい。三味線のルックスやたたく奏法、哀切のある音色にビックリするらしい。先月に米東海岸ツアーを終え、7月には生音にこだわった「生一丁!」ツアーも控える。津軽三味線の寵児はますます意欲的だ。
エール 日本の誇り
歌手・石井竜也さん
02年に僕のコンサートに出演してくれた時に、幼い頃は年配の方が弾く楽器というような見られ方をしたこともあったと聞きました。そんな周りの声を振り払って自分の中で昇華していくことは口でいうほど簡単ではなかったはずです。今では世界中で認められ、勝負することができる。同じ音楽をやっている人間としてはうらやましい限りですが、同時に同じ日本人としてとても誇りに感じます。
これまでのコラム
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
●タブラ(インド) 吉見 征樹
●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
●ケーナ(ペルー) 田中 健
●ジェンベ(マリ) 池田 正博
●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
●ウクレレ(米国) 高木ブー
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