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2004.8.12(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 スチールドラム 
(トリニダードトバゴ) 

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透明感の裏 抑圧の歴史

 カリブ最南端の国、トリニダードトバゴ。石油産出国でもあるこの国で、ドラム缶を使った打楽器「スチールドラム」が誕生したのは、第2次世界大戦後のこと。「20世紀最後のアコースティック楽器」とも言われる。
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 その誕生には、1962年に独立する以前からの、アフリカ系の人々の受難の歴史がかかわる。19世紀末、彼らが太鼓の演奏で盛り上がるのを見た支配者たちは、反乱を恐れその演奏を禁じた。するとその代わりに竹を地面に打ち付ける「タンブー・バンブー」という楽器が生まれたが、それも禁止される。そして今度は、空き缶など身近なガラクタを使って演奏を続けるうち、1930年代の後半、ある男が空き缶のへこみ具合で音階が異なることに気づく。これがスチールドラムの始まりだ。


地図  その後、石油のドラム缶を使うことが主流になり、現在は「テナー」「ダブル・セコンド」「ベース」など、さまざまな音域が出る種類ができた。今は廃物利用ではなく、演奏用に作ったドラム缶の底をたたいて伸ばし、音の出る面を作っていく。透明感のある高音が特徴だ。

   *     *   

 毎年2月に開催される「カーニバル」は、国民にとって特別な存在だ。中でも「パノラマ」というスチールドラムのコンテストには、100人以上の編成チームも参加する。街中がドラムの響きと人々の熱気に包まれ、人口約110万人足らずの国中が、一体になったかのような日々をこの期間は送る。


◆CD「TRINIDAD&TOBAGO」
 カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラの唯一の国内版=写真。01年の広島コンサートでの収録。「Sukiyaki」「Princess Mononoke」「Thunder and Lightning Polka」など全13曲。2520円。

◆横浜スチールパン・フェスタ
 8月14日(土)午後2時半、横浜市西区みなとみらい1丁目のパシフィコ横浜円形劇場(みなとみらい駅、TEL045・221・2155)。「パノラマ・スチール・オーケストラ」「パンランド・スチール・オーケストラ」など、全国から集まる8団体が出演する年に一度の祭典。原田芳宏のソロ演奏も。無料。小雨決行。


◆本「人と神と音−−楽器をフィールドワークする」(写真)
 静岡県浜松市の市楽器博物館名誉館長で、大阪音楽大学長の西岡信雄さんが、スチールドラムのほか、世界各地を訪れて情報収集した楽器を紹介。巻末には、琴、三味線などの歴史や構造を解説した「“はじめまして”和楽器」も。A4判変型、264ページ。2000円(ミュージックトレード社)。


◆タフィア
 東京都港区西麻布2丁目(六本木駅、TEL03・3407・2219)。
 12席の「ラム酒と喫茶」の店。200種のラム酒がそろう。世界一辛いという唐辛子「ハバネロ」を使ったマリネ「マンゴーのススカイ」(写真右、500円)や、地元独特のスパイスと塩漬けにした豚肉を使ったカレー「コロンボ」(同左、小800円、大1300円)など。営業時間は、午後7時〜午前5時。(月)(祝)と8月14日、15日は休み。


◆日本スチールドラム振興会
 同会のホームページ(http://www.steeldrum.org/)で、スチールドラムの歴史や楽器の種類、CD、練習会の情報などを掲載している。

マリオ

カリプソからクラシックまで
カリビアン・マジック・
スティール・ドラム・オーケストラ

奏  今回トリニダードトバゴから来日する「カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ」のメンバーは全部で19人。「パノラマ」で毎年上位に入賞している「レネゲイズ」を中心に選ばれた14〜50歳だ。

 「ハイ・テナー」「ロー・テナー」「ダブル・セコンド」など8種類のドラムで、声楽のソプラノからバス、管楽器のピッコロやテューバ、弦楽器のバイオリンからコントラバスにあたるパートを担当する。その名の通り、カリブ音楽「カリプソ」はもちろん、レゲエ、ポップス、クラシック、時には日本の曲まで、自在に演奏できる。

 曲目のアレンジは、チームを作ったシェルトン・ジェームスが担当。メンバーはオーケストラ専属ではなく、いずれも別の仕事を持っている。たとえば、調律を担当するマリオ・ジョセフは、ドラムの調律会社に所属している。

 彼らにとってのドラムやカーニバルの意味を聞くと、「楽しみであり、仕事であり、人生でもある」と、余裕ある微笑で答えてくれた。現地のゆったりとした時の流れを垣間見た気がした。


エール 優しい音色

歌手・小野リサさん  初めて生のスチールドラムを聴いたのは、アルバム「Bossa Hula Nova」で原田芳宏さんに演奏して頂いた時でした。その癒やされるような優しい音色に魅了され、今年のアルバム「NAIMA」でも用いています。何台ものドラムが一斉に響く音は素晴らしいと聞きました。ぜひ一度、その音色を聞いてみたいと思っています。


 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
(2004年8月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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