会話のせる二本の弦
中央アジアの北に位置する草原の国・カザフスタン。この国に最も多く住むカザフ族によってドンブラは生きている。
カザフ族は、イスラム教徒のトルコ系遊牧民族。現在は、カザフスタン、中国の新疆ウイグル自治区、ウズベキスタンなどで暮らす。
移動を繰り返す遊牧民の宿命からか、梨型の胴体と二本の弦からは、哀愁をおびた、どこかなつかしさを覚える音が紡がれる。
全長は約1メートル、重さは500グラムほど。胴体は、表の平らな部分が松、裏のふくらんだ部分が白樺(しらかば)でできている。昔は弦に羊の腸を使っていたが、今はナイロンがほとんど。
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名前の由来は、弦を上下に弾くと鳴る「トン・ブル」という音色からと伝えられる。弾き語りや独奏が主だ。軽快な旋律は、馬が大地を駆ける様子を表しているという。
カザフ族の人々は馬や羊を追った後、可動式の住まい、ユルタで体を休める。夕食を終えると、だれからともなく弾き語りを始める。歌詞は、古くからの物語や叙事詩であったり、即興で作った歌詞だったり。家族のこと、恋人のこと、さまざまな思いをメロディーにのせる。カザフの人々は、そうやって会話する。
◆「カザフの音楽−−ステップの風」(写真)
ドンブラの巨匠トクタガーノフ・アイトジャンのソロ、口琴の演奏も収録。中央アジアの大地で育まれた数々の叙事詩や草原の国・カザフスタンの国民的楽器ドンブラの魅力をこの一枚に。17曲。2000円。
上記CDを5人にプレゼントします
応募は9月23日まで

提供
 カルタコム
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◆「宇宙船平和号」
9月26日(日)午後2時、東京都中央区晴海1丁目の第一生命ホール(勝どき駅)。
国境を越えて集まったアーティストたちが、音楽や舞踊、映像で地球の美しさ、平和への祈りとメッセージを発信する。劉宏軍(管楽器)、アイティムラティ(カザフ音楽)、モーガン・フィッシャー(シンセサイザー)、ブバカール・ガイ(アフリカンドラム)、和泉元彌(詩詠)、滑川五郎(身体パフォーマンス)ら。S1万円、A7000円、学生3000円。小学生以下入場不可。問い合わせは日本民族音楽協会(TEL03・3535・0006)。
◆ドンブラ教室
横浜市保土ケ谷区新井町のアイティムラティの自宅(横浜駅からバス、TEL045・383・7287)。
ドンブラ、チャンコブィズ(口琴)の指導、カザフ語のレッスン。出張教室も。国際交流事業、パーティー、イベント、レクチャーコンサートなどの出演依頼も受け付けている。
◆遊牧民の移動住居パオに宿泊
静岡県富士市桑崎の富士山こどもの国(東名高速裾野インター、TEL0545・22・5555)。
遊牧民が住居に使うパオ=写真。「草原の国」「水の国」「街」などのゾーンがあり、「草原の国」のキャンプ施設に宿泊できる。パオ小(6人程度)1棟1泊4000円、大(20人程度)8000円。寝袋のレンタルやバーベキュー食材の販売も。入場料800円、中学生400円、小学生200円。
◆カザフスタン共和国
首都はアスタナ。面積は日本の約7倍の271万7300平方キロで、世界で9番目に広い。人口は1547万人(02年推定)。人口密度は1平方キロあたり約6人(日本は約335人)。1991年、ソ連から独立。100以上の民族を有する多民族国家で、公用語はカザフ語とロシア語。カザフ族以外に約3割のロシア人が住む。石油やガス、石炭や鉄などの天然資源が豊富。農業は、麦や綿など。
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「草原の自由民」
アイティムラティ・トルハリ(39)
「楽器には国境がない。だから、ドンブラがあればどんな国でも楽しく生活できる」。ドンブラを手に来日して5年。各地の小学校などを訪れ、演奏会を繰り返す。「カザフ族の歴史と風土を音楽で伝えたい」。歌は言葉の壁を何度も飛び越えてくれた。
中国新疆ウイグル自治区のカザフ族出身。故郷・イーニンでは、ほとんどの家にドンブラがあった。6歳のとき初めて父親に教わり、「兄妹で一番うまくなって父親にほめられたい」と一生懸命練習した。
高校卒業後、音楽の専門学校に入学。その後、カザフ自治州の交響楽団に17年間所属し、99年、富山大に留学中の妻を追って日本へやってきた。
「音楽があるのは平和で自由なところ」と信じている。日本は平和だ。しかし、「日本は便利だけれど、お金がないと生活できない。カザフは友達がいれば生活できる」と話す。平和で自由なカザフ。カザフ民族の「カザフ」は「草原の自由民」を意味するという。
アイティムラティの歌声は、「草原の隅々まで響き渡るよう」と称される。この歌声にのせて伝えたいのは、本当の平和と心の安息。聞き手の心に届くようにと願いながら、ドンブラとともに日本を歩き渡る。
エール 「天まで響く音」
狂言師・和泉元彌さん
天まで届くかと思うほどの音の広がり、豊かな表情を持つ音。二本の弦と人間の声が作り出す音にこれほどの力があるものかと鮮烈な印象を受けました。
ドンブラには、カザフスタンに息づく人々のぬくもりが宿っています。ジャンルは違っても、伝統芸能を守るという立場は同じ。「宇宙船平和号」の出演者はみなそういう方々で、わくわくしながら舞台を作っています。
これまでのコラム
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
●タブラ(インド) 吉見 征樹
●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
●ケーナ(ペルー) 田中 健
●ジェンベ(マリ) 池田 正博
●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
●ウクレレ(米国) 高木ブー
●津軽三味線(日本) 上妻宏光
●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
●ウード(チュニジア) 常味 裕司
●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
●チャング(朝鮮半島) 康明洙
●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
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