木の精霊が音に宿り
思わず「オカリナ?」と聞き返したくなる。長さ8センチ、直径3センチほどの、手にすっぽり収まる小さな木製の楽器。六つの指穴と、リップと呼ばれる音を出すための四角い穴だけのシンプルな構造だ。東欧のハンガリーで産声を上げ、日本で「コカリナ」と名付けられた。
現在の形になったのは数十年前。歴史は浅いが、「木でオカリナを」とハンガリーの民族楽器製作者が伝統と知恵を集結させて作り上げた。フルートなどと違い、木をくりぬいた閉管楽器なので、吹き込んだ空気が中で共鳴し、ふんわり外に広がっていく柔らかい音がする。牛乳瓶に息を吹き込むと「ボォー」と鳴るような感じだ。音色は「木」そのもの。野山で吹くと、鳥たちが一緒に鳴き始めるという。木の精霊が宿っているかのような、心を癒やす不思議な力を持つ。
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音階は1オクターブ以上。バスやバリトンコカリナが作られるなど、黒坂黒太郎さんらによって日本で「楽器」として完成、世界に羽ばたこうとしている。
素材となる木によって音が違う。原爆で焼け焦げた被爆樹、廃校になった学校や取り壊す家の柱などで作ったコカリナもある。平和を願う音、思い出の詰まった音。木に刻まれた歴史が音となって出てくるようだ。木の精霊たちの仕業だろうか。形を変え、木は生き続ける。
◆早川りさこ&黒坂黒太郎「明日は味方 グランドハープ&コカリナ」(写真)
NHK交響楽団のハープ奏者・早川さんと黒坂さんによるハープとコカリナの初コラボレーションCD。新潟県中越地震被災者支援を目的に制作、収益金は被災者支援に活用される。「ふるさと」など、癒やしと励ましをテーマに選曲。全16曲。2000円。購入は、中越音楽支援プロジェクトのホームページ内にあるCD案内(http://cyuetsu.com/asumikata.htm)から。試聴もできる。
◆黒坂黒太郎「翠嵐(すいらん)」(写真)
アイルランド民謡「ダニーボーイ」など全11曲。コカリナ用にアレンジした楽曲を、ギターやピアノ、ハーモニカなどとともに。屋久杉をはじめ、クルミ、桜、柿などの木で作ったコカリナで演奏。屋久杉数千年の響きが心を癒やす。3000円。
◆中越地震被災地支援「グランドハープとコカリナのコンサート」
3月2日(水)午後7時、東京都千代田区神田駿河台1丁目の日大カザルスホール(御茶ノ水駅)。早川りさこさんと黒坂さんが出演。童謡「どこかで春が」、黒坂さん作曲による「母なる川」など。3800円。要予約。問い合わせは黒坂音楽工房(TEL03・5626・1581)。
◆レストラン カントリー
東京都目黒区自由が丘1丁目の自由が丘デパート3階(自由が丘駅、TEL03・3717・4790)。ハンガリー大使館の職員や留学生も訪れるというアットホームなレストラン。開店は1959年。牛肉をパプリカで煮込んだ「グヤーシュスープ」(写真下、1180円)をはじめ、チキンシチューやロールキャベツなど伝統的な家庭料理を味わえる。エグリやトカイのワインも。午前11時半〜午後10時。(水)休み。
◆コカリナを吹こう
簡単に吹け、軽くてポケットにも入るコカリナ。コカリナ楽器(TEL03・5626・1581、http://www.kocarina.net/)や一部の楽器店で、日本コカリナ協会認定製作者が作ったコカリナを販売。5775円から。思い出の木でオーダーすることも(20本以上からの受け付け)。
コカリナとの出会いなどをつづった黒坂さんのエッセー「コカリナ?」(CD付き、講談社)も販売中。1680円。
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