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2005.2.10(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 サバール(セネガル)
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力強い生命力の賛歌

 セネガルでは週末の夜ともなると、サバールダンスパーティーの太鼓の音が聞こえてくる。冠婚葬祭はもちろん、生活の中に深く根ざす楽器なのだ。
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 サバールとはセネガル特有の太鼓の総称で、アンサンブルで演奏されることが多い。使われるのはンデール、ブンブン、リーダーだけが使うゴロンババスなど主に6種類だ。それぞれ形、サイズ、音が違うが、基本は、長い木の筒にヤギなど動物の皮を張ったもので、それを木の枝を使ったバチと素手でたたく。穀物をつくための臼がもとになったとも言われる。

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地図

 たたく場所やたたき方により、下腹に響くドゥンという音、ひときわ高く響くカーンという乾いた音、柔らかく重ねられるポンという音などが出る。さらに太鼓の種類によりその高低や響きが変わり、その重なりで多様なリズムを紡ぎ出す。

 遠く離れた場所に言葉を伝える手段として使われてきた、広い意味でのトーキングドラムの一つ。演奏の最後は必ずダンスリズムだ。長い手足を最大限動かす、何かに突き動かされたような激しいダンスの時、伝わるのは力強い生命力の賛歌だ。


◆ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ「ラックローズ」(写真)
 96年の神奈川県三浦市のイベント「海潮音」で録音。力強い歌声と、太鼓のソロ、音の洪水のような演奏があり、ドゥドゥ率いるサバールアンサンブルを満喫できる。全7曲。2520円。問い合わせはブリッジ(TEL03・3710・8049)。
 ラックローズはダカール郊外にあり、バラ色の湖という意味。文字通りバラ色をしており、塩分濃度が高いため、死海のように浮くことができる。

◆CD「ンダジェ」(写真)
 ドゥドゥの息子ワガン・ニジャエ・ローズ指揮のサバールのライブ録音。父ドゥドゥやアフリカ、サバールなどをたたえる曲を、歌と、鋭い太鼓の演奏で表現する。全12曲。2500円。通信販売をしている。システマ(sistema@po.jah.ne.jp)。


◆ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ公式サイト「サバール パラダイス」
 サバールについて、それぞれの太鼓の特徴やダンスなどが詳しく説明されているほか、西アフリカ全体の楽器や音楽なども紹介している。http://sound.jp/sabar/

◆パリ・ダカ
 世界一過酷なラリー競技大会といわれるテレフォニカ・ダカールの通称。79年の初回に仏・パリ、セネガルの首都ダカール間で行われたことから、この略称が使われている。期間中毎日コースが移動し、それぞれの区間の合計タイムを競う。スタート、ゴール地点は時に変わるが、サハラ砂漠を縦断する全走行距離は約1万キロ。2005年の大会は、スタートはスペイン・バルセロナ、ゴールはダカールの「ラックローズ」。4輪部門は160台以上が出走し、完走できたのは半分以下の75台だった。


◆DVD「キリクと魔女」
 キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバに呪いをかけられていた。男たちは魔女に食われ、村に残るのは女子供と老人だけ。「どうしてカラバは意地悪なの?」と素直な疑問を持ったキリクが、持ち前の好奇心と行動力で村を救う。セネガルの国民的歌手ユッスー・ンドゥールが音楽を担当、太鼓も含めたアフリカの伝統楽器を使った曲が美しい=写真、©Les Armateurs / Odec Kid Cartoons / France 3 cinema / Studio O / RTBF / Monipoly / TEF / Exposure.。
 ミッシェル・オスロ監督。翻訳・演出、高畑勲。浅野温子ら声の出演。アニメ。仏。98年。3990円。ブエナビスタホームエンターテイメント。

ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ

太鼓の言葉に耳をすます
ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ(74)

奏  やせていて小柄。そんな体からは想像もつかない圧倒的なステージパフォーマンスを見せる。サバールアンサンブルの中心で、全身を使いゴロンババスにバチをたたきつけるように演奏する。舞台上を精力的に走り回り、奏者を叱咤(しった)激励、何より全体をまとめ頂点に向けて導いていく姿は指揮官のものだ。

 ドゥドゥ・ニジャエ・ローズは「太鼓の神様」とも評される、セネガルでは伝説的な人物だ。音楽を演奏できる唯一の特権階級グリオの出身で、ファミリーネームの「ニジャエ」の意味は百獣の王ライオン。しかし演奏活動だけで生活をするようになったのは、ようやく40歳になったころ。それまでは大工仕事などをするかたわら、師匠について演奏活動をしたり、各地のグリオからその土地のリズムを学んだりしていた。

 良い演奏者になるためには、「太鼓の言葉」を理解しなくてはいけないとドゥドゥはいう。太鼓をたたくことは、文化を継承する役割を担うこと。伝統的な音の中に言葉を聞き、意味を知ることが何よりも重要になるというのだ。

 「太鼓の演奏をやめたい」と思ったことは一度もない。「神様が私に太鼓を演奏するチャンスをくれている。それをいらないと返すわけにいかないでしょう?」


エール 異国の記憶

キハチ総料理長・熊谷喜八さん
 私がセネガル日本大使館で働いていたのは35年前。大使館は郊外にあり、日の暮れはじめは抜けるような空のブルーが、紺になり漆黒に変わると、落ちそうなほどの無数の星が空一面にあふれだす。そうすると離れた街のどこからかサバールの音が聞こえはじめる。少年から青年にかわる22歳の頃、語学も出来ず初めて訪れた異国の地で聞いたサバールの音は、あの頃の寂しさと入り交じる「音の記憶」として今も心に刻まれている。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟
 ●オカリナ(イタリア) 宗次郎
 ●中国琵琶(中国) ウェイ・ウォン
 ●ダルブッカ(エジプト) 伊藤 アツ志
 ●バラライカ(ロシア) エフゲニー・ジェリンスキー
 ●三線(日本) よなは 徹
 ●パンフルート(ルーマニア) 野崎ユミカ
 ●カリンバ(タンザニア) ロビン・ロイド
 ●コカリナ(ハンガリー) 黒坂 黒太郎
 ●バンスリ(ネパール) インドラ・グルン
 ●ムックリ(日本) 弟子シギ子
 ●サウン・ガウ(ミャンマー) ウ・テインタン

(2005年2月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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