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2005.3.24(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 アパラチアンダルシマー
(米国)
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移民の郷愁、山間に伝え

 マウンテンダルシマー、ケンタッキーダルシマーとも言われる。その名の通り、米東部のアパラチア山脈の生まれ。バンジョーと並んで親しまれるアメリカの国民的楽器だ。    
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 砂時計のように中央がくびれた胴に、3〜5本の金属弦が伸びる。ひざの上に置き、ピックや指ではじいて弾く。その姿は日本の琴を連想させる。

 アパラチア山脈は、英国系、アイルランド系住民が持ち込んだ伝統音楽がカントリー音楽などに発展した地で、「アメリカ・ルーツ音楽」の揺りかごと言われる。その発展を支えた楽器のひとつがアパラチアンダルシマーだ。楽器自体はドイツや北欧の弦楽器が源流とされ、今の形になったのは19世紀半ばごろ。長い間、山間でひっそりと愛されてきた。全米に知れ渡ったのは、1940年代にフォーク歌手のジーン・リッチーが用いたのがきっかけという。  

   *     *   

 ダルシマーはラテン語で「甘美な旋律」。甘く、どこかひなびた響きは郷愁を誘う。厳しい山間での生活の中、移民たちが憩いを求めて奏で、遠い先祖の地に思いをはせたのかもしれない。


◆ジーン・リッチー「ballads」(写真)
 「アメリカの宝」と言われるアパラチアンダルシマーの第一人者リッチー。英国やアイルランドからアパラチア地方に伝えられたバラッド(物語歌)を収録。ダルシマーでの弾き語りも。全16曲。カルタコム(TEL03・3776・1080、http://www.culta.com/w-music/march-4.html)で買うと2500円。

◆「ハートランド――アパラチアン・アンソロジー」(写真)
 現代を代表するチェリストのヨーヨー・マをはじめ、マーク・オコーナー(バイオリン)、エドガー・メイヤー(ベース)らジャンルを超えた名手が共演し、アパラチア地方の音楽を収録。大ヒット曲「アパラチア・ワルツ」を含む全16曲。1680円(ソニー・クラシカル)。

◆よしだよしこ「ここから」(写真)
 音楽活動再開を機に制作したアルバム。
 よしだの歌とギターを中心に全13曲。3150円。詳細はよしだのホームページ(http://homepage3.nifty.com/lotus/)を参照。

◆よしだよしこ ライブ
 3月26日(土)午後7時、東京都杉並区天沼3丁目のポロン亭(荻窪駅、TEL03・3392・2495)。よしだによるギターの弾き語りライブ。アパラチアンダルシマーの演奏も。2500円(1ドリンク付き)。定員約30人。


◆DVD「Songcatcher――歌追い人」(写真)

 20世紀初頭のアパラチア地方で、英国やアイルランド系移民が持ち込んだといわれる幻の歌を発見した音楽学者のリリー。歌に込められた移民たちの魂に触れるうちに、自分自身の人生の真実を見つけていく。アパラチアンダルシマーが要所で登場。109分。4935円(松竹ビデオ事業室)。


◆アパラチアンダルシマーを弾こう
 オンラインショップの「工房ミネハラ」(http://www.minehara.com/)では、手作り楽器のキットを中心に、約50種類の弦楽器を販売。砂時計型のアパラチアンダルシマー(4弦)は、手作りキットが2万6250円、完成品が5万1450円(配送料別)。専用の教則本や楽譜なども豊富にそろう。

よしだ よしこ

「ありがとう、ダルシマー」
よしだ よしこ(51)

奏  「忘れ去られた音色のこの粗末なダルシマ/道ばたで私に呼びかけてくれた」

 はかなく、優しい声で語りかけるように歌う。アパラチアンダルシマーが再び歌う喜びを教えてくれた。その感謝の気持ちを、最近歌に託した。

 フォークバンドで高校生の頃からプロとして活躍。ギターとボーカルを担当していた。22歳の時、あこがれていたアメリカへ単身で渡る。片言の英語、ギターを片手に放浪の旅。ニューヨークで、大好きなアーティストの弾くダルシマーを聴いた。伝統的奏法を覆すように弾く姿に親近感を覚え、早速「のみの市」でダルシマーを購入した。

 しかし帰国後、在米中から悩まされ続けた「なぜ音楽をするのか」との問いに答えを出せず、音楽活動をやめてしまう。約20年間、歌を歌わない生活を送った。ダルシマーも手放した。

 40代半ばを過ぎ、残りの人生を思い始めた頃、ふと自分に出来ることは何かを考えた。結局残ったのが「歌」だった。いま歌わないと後悔する、と感じた。あこがれのアーティストが弾いていたダルシマーも再び取り寄せ、各地でライブをする。基本はギターの弾き語りだが、ダルシマーと歌うときは、より楽しく、素直になれる。その素朴ではかない響きが自分の声質に合う気がしている。  


エール 生活に根付く

浪曲師・国本武春さん
 03年秋から一年、文化庁の文化交流使としてテネシー州のアパラチア山ろくに滞在しました。現地では、本当に生活に音楽が根付いている。いつでもどこでも、人が集まれば合奏の始まりです。私が三味線を弾くと、「ジャパニーズ・バンジョー」と呼ばれ、すぐに仲間入り。中でもアパラチアンダルシマーは「アメリカ生まれ」として大事にされていたようです。その素朴な響きは、現地に受け継がれる弾き語りにぴったりなのでしょう。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟
 ●オカリナ(イタリア) 宗次郎
 ●中国琵琶(中国) ウェイ・ウォン
 ●ダルブッカ(エジプト) 伊藤 アツ志
 ●バラライカ(ロシア) エフゲニー・ジェリンスキー
 ●三線(日本) よなは 徹
 ●パンフルート(ルーマニア) 野崎ユミカ
 ●カリンバ(タンザニア) ロビン・ロイド
 ●コカリナ(ハンガリー) 黒坂 黒太郎
 ●バンスリ(ネパール) インドラ・グルン
 ●ムックリ(日本) 弟子シギ子
 ●サウン・ガウ(ミャンマー) ウ・テインタン
 ●サバール(セネガル) ドゥドゥ・ニジャエ・ローズ
 ●カホン(ペルー) 仙道さおり
 ●ティンホイッスル(アイルランド) 安井敬
 ●ニッケルハルパ(スウェーデン) ウーロフ・ヨハンソン
 ●クイーカ(ブラジル) 服部 正美
 ●アコーディオン(ドイツ) 田ノ岡 三郎

(2005年3月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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