
汐留の高層ビル群のすぐ隣に、うっそうとした木立の広がりがある。約350年前、徳川将軍家の別邸として造られた浜離宮恩賜庭園だ。
二つの鴨(かも)場、東京湾の海水を引き入れた「潮入の池」。江戸時代の海岸線をいまも残す25万平方メートルの憩いの場だ。樹林の小道に一歩入ると、別天地。夏場は特に気温が数度低く感じられ、暑い街中にいることを忘れてしまう。
入り口近くに立つのは「三百年の松」。6代将軍家宣が園内大改修の際に植えたとされ、太い枝が低く張り出した都内最大級のクロマツだ。
剪定(せんてい)と管理をしている根本浩一さん(28)=写真=は、「松も生き物。人間や動物と同じように扱わないと」と言う。担当して4年目。芽を一度切ってしまったら修復がきかないため、剪定は難しいが「浜離宮の松を切らせてもらうプレッシャーとやりがいを感じています」。
「緑をめでる」のが和風庭園の楽しみ方ではあるが、最近は「花は何が咲いている?」という問い合わせが多い。「もっと緑の美しさを楽しんで」と話す根本さんが手がけた松に目を向けると、「将軍の庭」の新たな魅力に出会えるかもしれない。

【浜離宮恩賜庭園】
東京都中央区浜離宮庭園(築地市場駅)。午前9時〜午後5時(入園は4時半まで)。300円。65歳以上150円。小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料。折々の「花ごよみ」も特徴で、いまは15万株のキバナコスモスが見ごろ。お問い合わせ先庭園サービスセンター(03・3541・0200)。