
日本最古の植物園−−。その看板にたがわず、「イチョウに精子があることが初めて発見された木」「メンデルが遺伝学の実験に用いたブドウの木の分株」など、歴史の証人ともいえる貴重な木々が、あちこちに根を張っている。
東アジアの植物研究の最先端を担う、東大の付属研究施設でもある。温室だけで約2千種、8千鉢の世話をするのは、育成部の主任、平井一則さん(50)=写真。育てているのは、ほとんどが研究目的の野生種だ。海外産で、育て方が分からないものを担当することも多い。マニュアルのない世界で植物と向かいあう。「生育環境を調べるため、マレーシアやタイの奥地まで行ったこともあります」
力を入れているのは、小笠原諸島の父島にのみ生育し、自生株が1本しか見つかっていない「ムニンツツジ」の繁殖。種から育て、約70鉢を大事に育てている。高さ20センチほどの若株は、花が咲けば温室で一般にも公開する。あと1年したら島に植え戻す計画だ。「責任の分だけ、やりがいも感じます」
珍しさや美しさを楽しむだけでなく、知的な好奇心も満たしてくれる。そんな「おもしろさ」に出会える植物園だ。

《メモ》
東京都文京区白山3丁目(白山駅)。午前9時〜午後4時半(入園は4時まで)。中学生以上330円、6歳以上110円。温室は、(火)(水)の午後1時〜3時に一般公開している。お問い合わせ先03・3814・0138。