人間ドック付きの温泉旅行。37年間働き続けた自分への「定年のご褒美」を考えていたら、「こんなのどうでしょう。長い間の不養生をチェックしてもらったら」と後輩が勧めてくれた。
旅館の宿泊費と検査料込みで3〜4万円。温泉(ホットスプリング)と人間ドックを合わせた「ホットドック宿泊プラン」だ。
「健康より仕事」優先といわれる団塊世代。大量定年に向かう時代をみた旅館の女将(おかみ)が発案し、「医療湯治ができる町」を思い描く湯原温泉病院の川上俊爾院長が受け入れた。3年半前に実現し、50〜60代を中心に年間約150人がホットドックでくつろぐ。
少々、気になっている腹周り。約30の基本検査項目にメタボリック検査もちゃんと入っていた。腹部CTで内臓脂肪を測って判定するらしい。約2時間で問診まですべてが終わった。
さあ、あとは宿に入って温泉三昧(ざんまい)だ。
旅館街は旭川の両岸に連なっている。源泉は市が一括管理して各旅館に配湯する。旭川の河原には、ご当地自慢の露天風呂「砂湯」がある。24時間無料開放。男女混浴。特段の目隠しがあるわけでもない。明るいうちから近在の人が、宿泊客が、一つ湯を一緒に楽しんでいる。
1週間後、検査結果が自宅に届いた。総合判定にはこうあった。「現時点では、メタボリック症候群の疑いはありません」
また、得した気分になった。
ライター 吉川幸男
撮影 渡辺瑞男=いずれも岡山県真庭市で。