世は健康ブーム。湯につかって、酒を飲むだけが温泉の楽しみ方ではない。今まではこれ以外の娯楽を知らなかった。が、これからは違う。
ウオーキング、だ。温泉で冷えた体を温め、石段や坂道を上り下りして汗をかき、また温泉に入って汗を流す。これぞまさに、健康ダイエットだろう。
企画したのは、温泉旅館や民芸品店の仲良し若女将(おかみ)四人衆。有限会社「伊香保おかめ堂本舗」を立ち上げ、今夏発行したリーフレットで温泉街の歩き方を提案した。
名所巡り、風水開運、ダイエットの3コースがあり、例えば、ダイエットコースだと、約45分で4583歩、消費カロリー97キロカロリーとある。若女将らが「体を張って」、実際に歩いた。
発案した松本由起さん(38)は「ウオーキングするお客さんが多いのに気づいて、観光案内つきの地図を作ったら喜ばれるだろうと思って。石段や坂道の多さを逆手にとりました」。飯野由希子さん(31)は「みなさんリーフレット片手に楽しく歩き回り、好評のようです」と話す。
徳冨蘆花記念文学館をスタート、石段約360段を上る。伊香保神社にたどり着くころには汗びっしょり。さらに長い坂を下り、胸突きの「心臓破りの坂」を上る。ふらつく脚で宿に帰り、湯煙の中じっと目をつむった。
所要時間の倍近くかかった。そう言うと、メンバーの千明恭子さん(33)は「通学路だった石段なんてひと息で行けちゃう」、真渕智子さん(42)は「きつければ名所巡りコースを試してみて」。
上州名物「かかあ天下」。しっかり者で小粋な若女将たちは、きょうも元気に石段を駆け上がっているに違いない。
文・写真 奈良岡勉