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2008.2.12(火)更新  よくばり湯の旅


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文豪たちが愛した 城崎温泉
(兵庫県)
打当温泉
 大谿川沿いの温泉街を散策する観光客も多い
城崎温泉
足湯で疲れを癒す=いずれも兵庫県豊岡市で
 日本三大文豪温泉というものがある。え、ありません?

 だったら勝手に作るとして、まずは夏目漱石「坊っちゃん」を擁する道後温泉(愛媛県)。続いて川端康成「伊豆の踊子」の湯ケ島温泉(静岡県)。そしてもちろん志賀直哉「城の崎にて」の城崎温泉を忘れるわけにはいかない。

 というわけで、バッグに文庫本を放り込んで車中へ。「城の崎にて」を読むのは中学生以来かな。

 城崎温泉は奈良時代に発見されたといわれ、1300年の歴史を誇る。大谿(おおたに)川沿いに柳の並木。シックな三階建ての旅館が続く町並みは、昭和というより大正の雰囲気が漂う。「端正」という言葉が似合う湯の町だ。

 七カ所ある外湯巡りが楽しい。お湯はやや熱め。驚くほど透き通っている。透明すぎて腹のたるみがモロに見えるのが情けない。

 ここには幕末のころ、京都を追われた長州の志士桂小五郎が潜伏したこともあるそうだ。後に夫人となった京・三本木の名妓(めいぎ)幾松といっしょだった。桂サンの腹はたるんでいなかったろう、と思う。

 さすがに文豪温泉。観光協会が毎年、俳句と短歌のコンクールを行っている(今年度分は1月19日で締め切り)。テーマは温泉、浴衣、柳、酒、コウノトリなどいろいろ用意されているが、冬の城崎ならカニと雪は外せない。

 3万円の賞金目当てに苦吟した渾身(こんしん)の一句……が、これだ。

 かに鍋や
 ふぶきのさきの日本海

 ライター 宮本貢
 撮影   塚原紘


 ◎城崎温泉 約100の旅館や土産店、遊技場などが立ち並ぶ温泉街を、浴衣を着、げたを鳴らしながら外湯を楽しむ文化がある。各旅館、屋号が入った浴衣をそろえる。11月〜3月は松葉ガニが旬を迎え、温泉街は一層にぎわう。志賀直哉をはじめ、有島武郎や与謝野晶子、司馬遼太郎らゆかりの文人は多い。作品や手紙を展示する文芸館や24の文学碑があるほか、四つの「歌のポスト」が設置されている。旅の思い出を詠んで投函(とうかん)した歌は、毎年3月末に選評され、優秀作品に記念品が贈られる。

 ◎「城の崎にて」 志賀直哉が、療養滞在中の体験をもとに書いた、生と死を見つめる小説。滞在した三木屋に、執筆当時の面影を残した部屋が現在も残る。見学可(要予約)。問い合わせは城崎温泉観光協会(TEL0796・32・3663)。


 【所在地】
  豊岡市城崎町湯島

 【交通】
  コウノトリ但馬空港からバスで約40分。最寄りの城崎温泉駅まで、京都駅から特急で約2時間半、新大阪駅から約3時間。

 【泉質】
  塩化物泉

城崎温泉アクセス

(2008年2月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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