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2008.2.19(火)更新  よくばり湯の旅


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雪山賑わすアイスモンスター 蔵王温泉
(山形県)
蔵王温泉
 地蔵山の西斜面で見られるアオモリトドマツの見事な樹氷群=山形市で。07年2月。
蔵王温泉
川原湯=山形市で
 息をのむ。峰を隠すように一面に並ぶ雪の柱。4、5メートルはあるモコモコとした怪物が、一斉に覆いかぶさってくる錯覚を覚えた。

 夜の闇に、ライトアップされた樹氷が不気味に浮かびあがっている。昼間の曇りがうそのように晴れた。あちこちから歓声があがり、カメラをのぞく男性もいる。  樹氷原の全景を望めるチャンスは、週に1度あるかないか。「ガスがパッと晴れ、辺りがさえ渡る時間があるんです」と、ロープウエーの蔵王山麓(さんろく)駅・駅長工藤利彦さん(49)。運がいい!

 麓(ふもと)からロープウエーで20分。標高約1600メートルの銀世界に無数の樹氷が待つ。その気軽さが受け、1シーズン約60万人が訪れる。

 日本海で湿気を吸った季節風が蔵王連峰のトドマツにぶつかると、水滴群が瞬間的に凍りつきエビ状に重なる。そこに雪が積もり頑丈な白い鎧(よろい)ができる。単なる雪のお化けじゃないらしい。

 確かに、風上に「エビのしっぽ」ができている。素手で触ると、なかなか崩れない。途端に手がじんじんし始める。冷気で肺まで痛い。マイナス13度の世界に立ちすくんだ。

 下界には温泉街が広がる。蔵王の湯を知りたいなら、と地元の人が薦める共同浴場「川原湯」へ。強烈な硫黄臭とともに、「あち、あちち」とにぎやかな声。なにせ、すのこ状の湯底から50度近い湯が直接わき出ている。

 やがて熱さが温かさに変わり始める。心地良い。立ち上る湯気の中に、モンスターの白い残像が跡形もなく溶け落ちていく、ずぶずぶずぶ――。

 文  市川綾子
 撮影 上田頴人


 ◎蔵王温泉 標高約900メートルに位置する奥羽三高湯の一つ。110年ごろ発見されたとの説があり、湯治場らしい風情が残る。1日約8700トンの湧出(ゆうしゅつ)量は県内一の規模。「川原湯」は、じかにわき出る湯として人気の共同浴場。午前6時〜午後10時。入湯料200円、小学生以下100円。名産のこけし(絵付け可)と3枚の入浴シールがついた「湯めぐりこけし」(1200円)が35の施設で使える。ササで包んだ「稲花餅(いがもち)」、しょうゆ味の玉こんにゃくなどを土産に。問い合わせは蔵王温泉観光協会(023・694・9328)

 ◎樹氷観賞 蔵王ロープウエー(TEL023・694・9518)で蔵王山麓駅から地蔵山頂駅まで昇り樹氷原へ。3月上旬までの午前8時15分〜午後5時(4時最終受け付け)。ライトアップは3月2日(日)までの午後5時〜9時(7時50分最終受け付け)。往復乗車料金2500円、小学生1250円。


 【所在地】
  山形市蔵王温泉

 【交通】
  山形駅からバスで約45分。山形自動車道山形蔵王インターから約40分。

 【泉質】
  酸性泉 硫黄泉

蔵王温泉アクセス

(2008年2月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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