
今回ランキングしたお店の中で、唯一のラーメン屋です。20歳で脱サラしたご主人が横浜の中華料理屋で修業を積み、築地場外の新大橋通りに店を構えたのが22歳のとき。以来41年間、同じ場所で、同じ味のラーメンを作り続けています。
お昼時は長蛇の列になるそうで、取材にうかがった12時ごろもサラリーマンやカップル、外国人観光客、お年寄り、子供連れと大勢の人でにぎわっていました。狙い目は9時〜10時ごろだそうです。
メニューは「中華そば」(600円)のみ。多いときは一日800食、平均でも600食は作るというから驚きです。
「らっしゃい!」。ご主人の粋な声がかかります。歩道にいるスタッフに料金を払い、カウンターに並びます。待っている間、目の前でご主人とスタッフが麺(めん)をゆで、スープを入れ、チャーシューやメンマ、ネギ、カイワレダイコンを盛り付けていきます。その手際のよさはお見事。なみなみとスープが注がれたどんぶりを持って、歩道を挟んだ向かいのテーブルで立ち食いします。
通りを覆うトタン屋根、昔懐かしい古びた看板、具材が所狭しと並ぶ調理場、見知らぬ人と肩を寄せ合ってすするラーメン――「井上」は、市場の活気を肌で、そして舌で感じられる場所なのです。