
雷門通りを西へ歩き、国際通りを越えると、菊水通りにでます。この通りに、昭和12(1937)年から続く、風流お好み焼「浅草染太郎」があります。メニューの中では、お染焼き、五目焼きそばという昔ながらの2品が人気でした。
歴史を感じる店内は畳敷きで、鉄板をはめこんだ小さな卓が並べられています。声をかければお店の人に焼いてもらうこともでき、鮮やかな手さばきを堪能できます。
元々は、先代のおかみさんが女手一つで始めた店。東京大空襲で焼き出されましたが、終戦後すぐに小屋を建てて商売を続けました。物のない時代に苦労してビールを仕入れ、お客さんを喜ばせたそうです。坂口安吾や高見順ら文士たちも足しげく通い、今でも店内に直筆の色紙が飾られています。
お品書きに並ぶ値段の表示はすべて、「円」ではなく「縁」。これは「今日一日の縁を大事して、お客さんに喜んでもらおう」という2代目店主の気持ちがこめられています。
メニューの中には、常連客から提案された料理も多くあります。もち、合いびき肉、タマネギ、ニンニクが混ぜ込まれた「しゅうまい天」は、お正月に残った餅をどう料理するかが話題になったときに考案されたお好み焼き。食パンにラードを塗って鉄板で焼いた「パンカツ」は、肉が手に入らない時代にお客さんからの要望で生まれた一品です。
歴史のある店だけあって、お客さんの顔ぶれも様々です。昼ビールを楽しむご近所サークルの面々、仲良く料理を分け合うカップル。外国からの観光客も多く訪れ、「このお店は、全部木でできているよ」と驚く人もいるとか。