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うふふナチュラルライフ

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棒で大豆をトントン、唐箕で選別    

    素朴な農具は身の丈の感じがいい

イラスト・さかいひろこ
 農具にも色々あって、良く知られているのが田畑で使う鍬(くわ)や鋤(すき)。鋤は土を耕すだけでなく、昔はアウト・ドアで肉を焼くのにも用いられた。すき焼きの由来である。

 一番単純なのは棒。道具と言うより、たまたま落ちていた木の枝を拾って来ただけにも思える。だが単純な割に、役に立つ。これが、例えば建築現場にあった角材だと具合がよろしくない。角が無いから農作業にちょうどいいのだ。

 トントントントン−−。風の無い良く晴れた日、畑に茣蓙(ござ)を幾枚も広げた上で、刈り取り後、乾燥させておいた大豆や蕎麦(そば)を次々叩(たた)いていく。まだ枝葉もそのまま残ってかさばっているところを、木の棒でトントントンとやると、実だけがパラパラ下に落ちる。

 音楽の先生だったか−−。打楽器は人類が発明した最も古い楽器だと言っていた。身近な物を叩けば必ず音が鳴るから。

 大豆を叩いている自分の体にも、その人類の血が流れていることを実感した。だんだんリズムに乗ってきて、両手でトントントコトコ鼻歌交じりに数時間もやっていたら、座っている足の周りが収穫でいっぱいになっていた。

 さて、お次は唐箕(とうみ)の出番。私、この『とうみ』という名の機械を目にしたのは初めて。ハンドルを回して扇風機のように風を起こし、大豆や蕎麦の実に混じった枯れ葉などのゴミを吹き飛ばす。何から何まで人力で動かすので、機械より道具と言った方がぴったりだった。

 色々な道具を使ううちに、力と早さの加減をこの手が覚えていくのがわかる。ふと目覚めるような感覚と心地いい音。人間の素朴な発想が生んだ道具は身の丈の感じがいい。仕事が終わった後「お疲れ様」と声をかけた。

(タレント・エッセイスト)

(2004年11月27日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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