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うふふナチュラルライフ

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凍る地面に姿を見せたフキノトウ    

    天ぷらにして春の使者を味わった

イラスト・さかいひろこ
 雪がちらつく中、母が庭で土いじりをしている。地面はまだシャベルも歯が立たないくらいカチンカチンに凍っているというのに。

 昼ご飯。台所でピチピチと威勢の良い油の音がし始めた。きっと天ぷらを揚げているのだ。具は何だろう? この時期、畑に生えているのは長ネギ、キャベツ、ニンジン、大根。あとは地面を掘って作った天然冷蔵庫に保管してあるジャガイモと里芋だけだ。穴の中でジャガイモは水気が良い具合に抜け、天ぷらにすると甘くて美味(おい)しい。ニンジン、ネギもいけるが、何度も食べているうちに、さすがにちょっと飽きてきた。両親は大変な天ぷら好きで、一度に10人分ほど揚げては、まず揚げたてを塩で頂き、しっとりしたところで精進丼にし、最後に天ぷらうどんをこさえ、それでも余るとレンジでチンしてしょうゆをかけ食べてしまう。なんか、彼らの子供時代の食糧事情がうかがえる見事な食べ尽くし方だ。私はうどんまでは付き合うが、チンまで行くとどうも手が出ない。一人で目玉焼きを食べる。

 今日の天ぷらもテーブルがいっぱいになるほどの量になった。その中に見慣れない具が。小さな玉のようで、ほのかな青い香りがする。

 フキノトウだった。母が今朝、庭の雪かきをしていて見つけた物だ。まだ凍り付いている地面に、もう姿を出していたなんて、植物の力はすごいな。フキノトウが生えた周りは、そこだけまあるく雪が解ける。生命の熱さだな。

 感動しながら春の使者を味わう。一年ぶりの爽(さわ)やかな苦みに目が覚める。初物は東を向いて笑いながら頂くと、その一年は無病息災だというので、山盛り天ぷらの隣で家族3人、向きを揃(そろ)えてニコニコした。猫たちが変な顔をして見ていた。

(タレント・エッセイスト)

(2003年2月19日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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