朝日マリオンのロゴ


● ● ● 高木美保の ● ● ●

うふふナチュラルライフ

■トップページ
■うふふナチュラルライフ目次へ

バケツを握りしめ、火の元注意     

     今日は私の「土手焼き」デビュー

イラスト・さかいひろこ
 次々に農作業が始まって、あー忙しい。そろそろ冬の出稼ぎ(東京にテレビの仕事に行くこと)を減らそうか。農作業と番組収録、両方書き込んだスケジュール帳をめくりめくり考える。

 さて、今日は土手焼きの日。雪が消えたこの時期、決められた土、日だけ行える。土の中に眠っている害虫や、その卵を退治し、米の収穫を守るためだ。「ついでにゴミを燃やしてはいけません。あくまで田んぼ周辺の枯れ草だけ焼いてください」とお触れ書きが配られ、みなさんきちんと(?)お約束を守る。時々どこかの集落でサイレンが鳴り響くことがある。土手につけた火が隣の雑木林に燃え移り、山火事になってしまったのだ。あわてて消防団が出動! 消火活動にあたる。

 実は今年が私の土手焼きデビュー。でっかいたき火ができるとワクワクする半面、火事を起こしてしまわないか心配で、まだ燃やす前から手にバケツを握り締めている。ベテランから、まず火をつける順番を教わる。延焼しそうな林などがある方を背に焼き始めること。最初は無風でも火が燃え始めると風が起こる。だから油断してはいけないなどと注意された。

 すっかり枯れきった草は、小さな火でもすぐ大きく燃え広がる。それはベージュの壁紙を一気にはがしていくようにも見え爽快(そうかい)、下からは真っ黒な壁が現れる。白い煙があがり、なぜか私が逃げる方逃げる方へ追いかけてくる。目が痛くて涙が出るが、草の燃えるにおいは悪くない。えぐみが無くすっきりしている。 少し慣れてくると、燃える火を見つめながらちょっと考え事もできるようになる。土手焼きが冬の終わりを告げたら、次は水の季節だ。柔らかな田んぼの泥の感触が待ち遠しい。

(タレント・エッセイスト)

(2003年3月19日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

asahi-mullion.comのトップページへ
asahi-mullion.comのトップページへ

このホームページ(asahi-mullion.com)についてのご意見や情報提供は
mullion-hp@asahi.com

朝日新聞のマリオン紙面への掲載や問い合わせなどは
〒104-8011 朝日マリオン21・マリオン編集部
(TEL03-5540-7411 FAX03-3545-0525)
Eメールはmullion-ppr@asahi.com

asahi-mullion.comに掲載の記事や情報、写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2004 Asahi Mullion 21. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.