段ボール箱の中にしまっておいたジャガイモが芽を出して、早く植えろーと言っている。慌てて朝から畑に向かったのである。
昨日までは、まだ凍えるような風があたり前のように吹いていたのに、今朝はもう春だ。
気が付くと、道端のコブシが白い花を開いていた。「コブシが咲いたらサトイモ植えろ」という地元で古くから農家をやっている爺(じい)ちゃんの教えを思い出した。そうだ! ジャガイモばかりに気をとられて、サトイモの種芋を車に積んでなかった。と焦ったら、「あんたの足元にあるわよ」と母。さすが、山育ちで子供の頃から田畑にも親しんだだけある。
サトイモは、土色のヒゲもじゃ。これ、よく見ると誰かの顔に似てますなあ。あの人、高橋尚子選手の監督さん。真夏に日焼けなさった顔なんて、ほんとそっくりですわ。テレビで見ると、いつも私煮っころがしを食べたくなってしまいます。なんて、スイマセン勝手な想像して。
ジャガイモは、やはりいつも一緒にお仕事させて頂いている徳光和夫さんを思い出します。小っちゃい目がジャガイモのヘソと同じなんですわ。そういえば、顔の輪郭もよく似ている……。すいません、大先輩に対してこんなこと。徳光さんはそれだけ人々に親しまれる存在と言いたかったのでして〜。
ミョウガを見るたび思い出すのが、元総理大臣の宮沢喜一さん。ほんのりピンクがかった頬(ほお)のツヤは、そのもの! という感じですなあ。いやいや、皆様、本当に失礼いたしました。
さて、丸っこい芋を四角い畑に植える時、私はつくづく幸せを感じる。というのも、きれいに畝を立てた畑では、歩ける場所は畦(あぜ)だけ。これは四角い畑そのままに、一直線に作られる。血液型Aの私は、このまっすぐさがうれしくてしょうがないのだ。普段から、テーブルクロスがちょっとでもズレていると直さずにはいられない性格だから、畦に沿ってまっすぐ歩いたり直角に曲がったりすることが、たまらなく快感なのである。作物にはたくさん足音を聞かせろ、というのは、それだけまめに世話をしろという意味だそうだが、この足音を聞いて私の芋が四角くなるなんてことは、あるわけないな。
(タレント・エッセイスト)