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うふふナチュラルライフ

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もしかしたら子供の守り神様?     

     好奇心そそる300歳の桜の巨木

イラスト・さかいひろこ

 天気予報で、今日は一日中初夏の陽気だと言っていた。そこで草刈りの予定を急きょ変更、田んぼ仲間で花見に出かけることにした。

 どうせ見るなら珍しい桜がいいと、目指したのは黒羽町の両郷という所にある樹齢300年の桜の巨木。両郷はあまり知られていないが、私が住む那須よりずっとひなびた雰囲気の田舎らしい田舎で、心がホッと和むような景色に出会える。山の斜面に寄りかかるように立つ民家。細い道路を行くと、ときどき小さな棚田が谷間に垣間見える。その一本道のずっと奥に桜の巨木はいた。

 実は、こちらの気が早すぎたようで、花はまだ咲いていなかった。だがそれを残念がる必要などないほど、この桜の幹は好奇心をそそる形をしていた。全体にコブが幾つもあり、更に左巻きにねじれていたのである。自然にこんな風になったのだろうか? ちょっと不気味な感じもする。

木の手前には狛犬(こまいぬ)が一対置かれていた。よくあるように、口が「あ」「ん」の形になっている。だが足元に何かがいた。前脚と後ろ脚の間−−。

 よく見るとそれは小犬だった。この狛犬は子持ちだったのだ。そんなの今まで見たことない。

 向かって右の子は、こちらにお尻を向け親のおなかの下から顔をのぞかせている。左の子は親の前脚の間に身を伏せて、今にもいたずらしそうにこちらを見つめていた。どちらもつい頭をなでてやりたくなるほど愛らしい姿に作ってある。

 私の頭にある考えがひらめいた。もしかしたらこの桜は、子供の守り神様なのかもしれない−−。だから狛犬も子持ちなのだ。そういえば、あのコブは子だくさんの象徴にも見える。そうだ、ねじれた幹は、まるでへその緒のようではないか! この桜は母体なのだ。大地という母の。不気味だなんて言って、すいませんでした。

 さっきまで怖かった桜のイメージが百八十度ひっくり返ってしまった。きっと人々はこの木の前で手を合わせ、熱心に子供の幸せを祈ったのだろう。今日ここに来られたお陰で、私も優しい気持ちを分けてもらえた気がする。300歳の桜。お会いできて光栄でした。

(タレント・エッセイスト)

(2003年4月30日朝日新聞東京本社夕刊のマリオン紙面から)

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