畑のお肉、大豆さん。野菜畑や田んぼから少し離れた場所にもう一つ畑を借りて、去年より多くまくことにした。うまい味噌(みそ)、納豆、豆腐をもっと手作りして楽しみたいのだ。
広さはだいたい1反5畝、と農家のおばちゃんに言われたが、平方メートルの世界で育った私にはよくわからん。一反が約300坪で、1畝は1反の10分の1だそうだから、全部で450坪ってこと? そこから大豆は6斗ほど取れるという。斗? またまたわからん。リットルに直すとどれくらい? この質問に今度はおばちゃんが首をかしげる。リットルねえ……。結局答えは1升の10倍の量というところで落ち着いた。ちなみに合というのは升の10分の1だったよね。どうも農家で使う単位というのは学校で習わなかったものばかりでわからない。とにかく大豆はいっぱいとれるということにしておこう。
本によると、大豆をまく時には土で床を作り、そこに親指でちょんちょんとくぼみをつけ、中に豆を1粒か2粒置くのがいいそうだ。だが私たちのやり方はもっと大雑把、ではなく効率的。幅1メートルの床の上に節分の豆まきよろしく種の大豆をパーッとばらまく。あとは上から手のひらでぺたぺた押さえ土をかけておしまい。
ところが、この作業をこっそり見ているやつがいた。そいつは私たちがおやつを食べて一休みしているあいだに、自分もちゃっかりおやつを楽しんでいたのである。お茶を飲みながらふと振り向くと、畑を歩いているカラスが見えた。さっき豆を植えたばかりの場所をくちばしでつついている。慌てて追い払ったが、すでに土の上には穴が幾つもあいていた。
カラスは隠れたところから畑を見ていて、人間がどこに豆を植えたかちゃんと記憶しているという。そして音も無く忍び寄り、ちゃっかりほじくる。ぐやじ〜。これで納豆一つ分損した。また植え直すしかない。と、今度はさっきまでお茶を飲んでいたテーブルの方でおばちゃんが、こらーっ!と叫んでいる。見ると、さっきのカラスがせんべいをくわえて飛んでいくところだった。しかも一番高級なせんべいを。ゴンベが種まきゃカラスがほじくる。私らとカラスの知恵くらべの始まりである。
(タレント・エッセイスト)