獣医さんがレントゲン写真を指さしながら、もうポッキーちゃんの骨はつながったから、散歩に連れていってもいいですよ、と言った。ほんとうだ。折れて金属板で固定してあった部分に、しっかりとした新しい骨ができあがっている。最初に見た時とは雲泥の差くらい立派な太さになった。
2カ月前、交通事故にあったらしく、足としっぽを3カ所も骨折していたポッキーちゃん。つらい経験を笑い飛ばそうと“骨折犬ポッキー”と名づけたのが良かったのか、晴れて初散歩の日を迎えた。
まだ首輪の準備をしていなかったので、うちの長男ミュー君(ブチ猫)の綱を借りることにした。
ところが、ミュー君はそれがおもしろくないらしい。今では7キロに成長した巨大なおいなりさんのような体を縮め、いすの下からジーッとこちらを見ている。自分では綱を付けられるのが嫌なくせに、他人に使われたら急に悔しくなったのだ。人間でもこういう人いる。ミュー君には新しいのを買ってあげるから、と言うと、それは迷惑だが、でも悔しい、とプイと両親の寝室へ行ってしまった。またバーバ(私の母)に言いつけるつもりなのだろう。あの子は私より彼女になついている。子育てってむずかしい……。
そんなことはおかまいなしに、ポッキーちゃんはごきげん度MAXで外に飛び出した。初めこそ、しっぽを股間に丸めて警戒心まる出しだったものの、しばらくすると少しずつ歩く範囲を広げだした。よそのワンちゃんの落とし物を見つけては激しく鼻をヒクつかせている。この鼻がかわいいのだ。顔の右半分にマヒが残ったため、そちらの方に鼻の頭が曲がって、前からというよりは90度横から息を吸っている感じに見えるのだ。
一通りあたりをかぎ終えたら、元気に走り始めたポッキーちゃん。だが、何かその前足の動きが変。走るたびに両前足が体の前で交差して、それはまるで、まるで、アホの坂田のあの手の動きみたいなのだ! これも事故のせいなのか、元々の性格なのか? あまりの剽軽(ひょうきん)ぶりに、おかしくて涙が止まらない私なのだった。次は“何でだろう”でも教えてみるかな。
(タレント・エッセイスト)