正月も2日を過ぎて体重を計ったら3キロも増えていた。年末いっぱい仕事をし、28日にはもちつきまでして、31日には手打ちそばまで打って、それはいそがしかったのに、たった2日のんびりしただけでこれだもの。あーあ、なんだか下腹がポッコリ出てる。うちのミュー君の体形と同じだ。
3歳のオス猫ミュー君。ずっと体重は右肩あがりの人生である。この正月にはついに7キロを超えてしまった。去勢したのが体重増加の原因だが、とにかく大変な食いしん坊でもあるのだ。テーブルの上のおせちに最初に手をつけたのも彼だった。だが狙ったのは決して数の子ではなく、栗きんとんなのである。お正月用の和菓子が入っていた箱のふたを自分で開けて、お客様用をさっさと頂いちゃったのも彼である。満腹になるとコタツでいびきをかいて寝る。
いくら食べ物を隠しても上手に見つけ出してしまう彼。私たち家族は手を替え品を替え運動をさせては体重コントロールを心がけているが、当人はのって来ない。
1月3日の夜のこと、いつもは置物のようなミュー君が、にわかに家の中を走り始めた。42歳も年上(人間で言うと)のガールフレンドのフィーちゃんとお姉さんのパフちゃんもその後に続く。みんな上を向いて興奮気味にキャッキャッと鳴いているので、そちらを見ると、いつのまに入り込んだのか、コウモリが家の中を飛び回っていた、すごいすごい。家は天井から電灯がぶら下がっていたり、ハリがあったりするのに全くぶつからない。電気を消してもその飛びっぷりは変わらなかった。超音波ってやつだな。だから森の中もスイスイ飛べるんだ。
みごとな飛行術に見とれていたときだった。あのおデブのミュー君がふいにジャンプしたかと思うと、右手でコウモリをたたき落としたのである。目にもとまらぬ早業で。床の上でハタハタするコウモリを拾って外に逃がすまで一騒動した後、私たち家族は声をそろえて叫んだ。「やれば出来るじゃないミュー君!」。ピンクの鼻を真っ赤にして得意げな彼。「僕にはまだ野性が残っているよ」と胸を張る姿が、ちょっとうらやましかった。
(タレント・エッセイスト)